青森県第2の都市・八戸。市の中心部から車を5分程度走らせればその邸宅に辿り着く。周囲の家並みとそぐわぬ高さ2メートルはある白い壁が敷地をぐるりと囲み、中の様子を窺い知ることはできない。それはまるで知られたくない“なにか”を隠す要塞のような佇まいだった――。
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病院内での凄惨な殺人事件
地元紙記者が解説する。
「青森県警は2月14日、みちのく記念病院の元院長・石山隆容疑者(61)と弟で同病院に勤務していた医師の石山哲容疑者(60)を犯人隠避の疑いで逮捕した。調べに対し2人は犯行を否認しています」
事件の発端は2023年3月に遡る。
「当時、アルコール依存症で入院していた佐々木人志受刑者(59)が同室に入院していた髙橋生悦さん(当時73)の左目付近を歯ブラシの柄で何度も突き刺し、殺害した。昨年7月、佐々木受刑者には懲役17年の実刑判決が下っている。哲容疑者は2人の主治医だった」(同前)
病院内で起こった凄惨な殺人事件だったが、
「髙橋さんが殺害されたことを認識しながら、病院側は遺族に対し『ちょっと転んじゃったみたい』などと虚偽の説明をし、警察にも届けなかった」(同前)
事件後、両容疑者は佐々木受刑者を閉鎖病棟に移動。徹底的に殺人の隠蔽を図った。
「髙橋さんの死亡診断書には『肺炎』と記載し、死因を偽装していた。この診断書は当時、認知症の疑いで入院していた医師の名で発行されています。同様にこの医師名義で書かれた死亡診断書が100枚以上押収されており、隠蔽が常態化していたとみられる」(同前)