化粧品会社DHCの差別的文章がまた問題となっている。公式オンラインショップのサイトに、吉田嘉明会長名で「NHKは日本の敵です。不要です。つぶしましょう」などと誹謗中傷する文章が掲載されたからだ。NHKは4月9日の「おはよう日本」で、DHCの公式サイト上に在日コリアンに対する差別的な文章が掲載されていることを報じていた。

「文春オンライン」では昨年末と今年1月、社員や元社員の告発を元に、吉田会長とDHCの問題を報じていた。当時の記事を再公開する(日付、年齢、肩書き等は掲載時のまま)。

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  公式サイトに「チョントリー」など特定の民族や国籍を差別するような文書を掲載したDHC代表取締役会長の吉田嘉明氏(79)。ネット上ではこの“ヘイト投稿”を受け「#差別企業DHCの商品は買いません」との不買運動が広がっている。

「文春オンライン」の取材で、実は吉田氏の差別発言は常態化していたことが判明。吉田氏名義でDHC社内向けに不定期で出される内部資料「通達」と、現役社員(取材時)の告発をもとに、その実態を詳報した。(#1

 しかし問題はこれだけではない。吉田氏は社員に対して、自社商品の口コミを書き込む“サクラ投稿”を指示していることが判明。消費者庁や文化庁に取材をしたところ、吉田氏が主導している“サクラ投稿”は景品表示法や著作権法に触れる可能性があるという。そのうえ吉田氏は、“サクラ投稿”を無償で引き受けた社員を「ゴールド社員」などと“格付け”していることも明らかになった。(#2

 ヘイト発言に“サクラ投稿”——。こうした行為がDHC社内でまかり通ってしまう状況には、「人事」が影響を及ぼしているという。#1#2で告発したDHCの社員A子さんとBさんが語る。

大っぴらに批判すれば人事評価で最低点に

「私たちも会長のヘイト発言や“サクラ投稿”には嫌気がさしています。しかしそれを大っぴらに批判することはできません。もし“会長派”の誰かが聞いていたら、告げ口のFAXを会長に送られたり、人事評価で最低点の『2.0』をつけられてしまうかもしれませんから。

 DHCではボーナス前の時期に、社員同士で人事評価をし合う制度があるんです。しかもその評価軸が少し変わっているというか……」

 取材班が入手した「平成30年より新人事評価」と題されたDHCの内部文書には、次のように記されている。

DHC社内で配布された「平成30年より新人事評価」

《4.0 誰が見ても著しく会社に貢献している。能力が並外れて高く、この人がいなくなると会社は大損害である。誰よりも愛社精神に満ち満ちている。

 3.5 会社にとってかなり大切な人である。平均的な社員より間違いなく優秀であり、会社に確実に利益をもたらしている。愛社精神が感じられる。

 3.0 給料分は働いている。勤労意欲はあるが、結果が優れているというわけでもない。大企業のどこにでもいる並みの社員である。

 2.5 給料をもらうため、生活のために会社に来ている。こういう社員が蔓延すると会社は必ず衰退していき、やがては倒産につながる。

 2.0 問題外の社員。穀潰し。即刻辞めてもらいたい。》