東京湾アクアラインの千葉県側に位置する袖ケ浦公園(千葉県袖ケ浦市)は、現在80匹ほどの猫が住みついている知る人ぞ知る公園だ。
広い園内で、1年を通してさまざまな花を楽しめるのが売りだ。そして園内を少し散歩するとすぐにたくさんの猫が出迎えてくれる。整備された歩道に寝そべる猫、ベンチの上に座る猫、目をこらすと茂みにも猫。至るところに猫がいる。
公園が80匹の猫が住む保護シェルターに
約10年前から、その広さと24時間自由に出入りできることなどから、周囲一帯の捨て猫スポットと化しており、捨てられた猫がさらに子供を産むなどして約150匹の猫がいた。猫を遺棄した老夫婦が動物愛護法違反で摘発されたこともあった。
そんな公園で、猫の避妊去勢手術をし里親探しをするなど「一代限りの命」をまっとうさせる活動をしている団体が、NPO法人「袖猫パトロール隊」だ。同法人の代表は大島三郎さん(67)。隊員らで1日1回の餌やりや里親探しなどをしているという。
「最近では猫を捨てるケースは減りましたが、住みやすいのか、周囲から流れてくる猫もいて、現在は80匹ほどがこの公園で暮らしています。すべての猫を里子に出せればいいのですが、なかなか家の中の生活に順応できない猫もいるので、そういう猫には公園で命をまっとうしてもらいたいんです」
「外傷がなく液体を吐いていた」6日間で6匹が不審死
しかし、桜が咲き多くの花見客が訪れる3月19日以降、ある異変が起きている。猫の不審死が相次ぎ、警察も動き出す事態になっているというのだ。
最初の“変死体”が見つかったのは3月19日のことだった。
「前日まで異変もなかった推定13歳ほどの公園猫の兄貴分、茶トラのマイケル(同法人のメンバーが命名、以下同)が18日に餌やりの時間になっても姿を現しませんでした。時折現れない猫もいるので、少し探して諦めました。しかし19日にも姿を見せずにこれはおかしいと前日よりも範囲を広げて探すと、外傷もなく死んでいるのが見つかりました。何か吐いたあとがあり毒かなとも思いましたが、年も重ねていたので病死もあるのかなと……」
しかし、21日から22日にかけて、キナコ(推定7歳、オス)、シシオ(推定3歳、オス)、チョコ(推定5歳、メス)、24日にはバク(推定6歳、オス)と相次ぎ死体が発見されたのだ。
「さすがにおかしいです。毒殺だなと思いました。この子たちに共通していたのが、外傷がないことと液体を吐いていた形跡があることです。血便や血尿が出ていた猫もおり、内臓から出血していたんでしょう。過去にも突然猫が死んでしまうことはありましたが、こんなにまとまった期間に死亡が相次ぐなんて異常なことです」
22日には衰弱して息も絶え絶えになったポッポ(推定3歳、オス)も見つかった。
「もしかすると助かるかもしれない」
そう思った大島さんらは、急遽動物病院へ連れて行った。救急診療した「ふー動物病院」(神奈川県相模原市)の亀田博之獣医師(36)が当日のことを振り返る。