相手への配慮を忘れなければ大丈夫。間違った発言をしてしまったら、素直に謝ること
——差別を助長する発言・作品が見られる一方で「自分は同性カップルに理解がある」と考えたり、主張したりする方も増えましたね。本人はLGBTQ当事者のためを思っての発言をしたけれど、その内容に引っかかってしまった……ということもあるかと思います。
七崎 最近そういう話が増えましたね。「私はLGBTQでもいいと思うけどね」みたいな発言がマウンティングと受け取られてしまうような。でもそういう問題が出てくるってことは、世の中が一歩先に進んだことだと思っています。
ゲイ当事者でも「今これを言って大丈夫だったかな?」と悩むことがあります。でもあまり難しく考える必要はなくて、LGBTQとか関係なく、相手への配慮を忘れなければ大丈夫だと思います。もし間違った発言をしちゃったら、素直に謝ること。
本にも書いたけれど、失恋のショックで友人に思いがけずカミングアウトしてしまった時に「辛かったね」って言われたことが印象に残っています。性的指向関係なく、失恋したらみんな同じ気持ちになるんだ……って。コミカライズ版にもこの話が入っていて、読んでまた泣きました。
——七崎さんの著書をコミカライズした『僕が夫に出会うまで』、作画を担当されたのはBL作品を多数手がける、つきづきよしさんですね。
七崎 僕はBL作品が好きで、いつもスマホで読んでいます。ゲイの世界とBLの世界、なぜか交わらないことが多かったけれど、どっちの世界にも属している僕みたいな人はいて、コミカライズのお話をいただいた時はぜひつきづきさんにお願いしたいと思いました。あと、自分を綺麗に描いてほしかった(笑)。
原作は僕が実際に経験したことを書いていて、ゲイの当事者の方から「自分の人生と似ていて救われました」という声をいただくこともありました。今回のコミカライズ版は、原作のエピソードを活かしつつ、さらに読みやすくなっていると思います。
余談ですが昔ブログを書いていた時に、ブログを読んで下さったBLファンの方と仲良くなったことがあります。その方は居酒屋をやっていて、お店に足を運んで本を貸し借りしたことも。BL作品が好きな方も、この作品を通じてLGBTQに興味をもっていただけたら嬉しいです。
(写真:山元茂樹)
マンガ『僕が夫に出会うまで』を第1話から読むにはこちら。