先月、札幌地裁が国の同性婚否定に対して初の違憲判断を下した。今週末は東京レインボープライド2021がオンラインで行われ、家族の多様性をテーマにしたトークイベントも開催される。

 2015年にパートナーと一緒に江戸川区役所に婚姻届を提出した七崎良輔さんは、今も同性婚制度化に向けて積極的な活動を続けている。この5年間の同性婚・同性カップルの受け止められ方の変化と、依然として残っている課題について聞いた。

七崎良輔さん ©文藝春秋

——七崎さんがパートナーの方と江戸川区役所に婚姻届を提出してから、5年以上が経ちました。この5年間で、同性婚に対する世間の受け止め方は変わったと思われますか?

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七崎 世論調査では20~30代の8割が同性婚に肯定的という結果が出ています(電通による2019年11月調査)。3月17日には札幌地裁で「同性婚否定は違憲である」という判決が出て、それが全国の新聞の1面を飾っている……そういったムーブメントを目にする機会が増えてきているように思います。

 まさか全国初の判断が札幌でなされるとは思っていなくて、同性婚の法制化に一歩大きく近づいたと思います。当日の傍聴席は26席くらいあったんですけど、傍聴券を求めて150人以上の列ができていました。それだけ注目されていることにも感動しましたね。

©文藝春秋

——当日はご家族と傍聴券を求めて並ばれたそうですね。

七崎 僕は地元が北海道なので、札幌地裁の判決を機に帰省して、両親と妹に「一緒に行こうよ」と誘いました。

 両親も前向きでしたよ。カミングアウトの直後は、自分の息子がゲイであることを受け入れられなかったけれど、少しずつ変わっていきましたね。札幌でパートナーシップ制度ができたり、それが報道されたりすることで「誰かが国の制度から排除されている状況がおかしい」と考えてくれるようになりました。

 僕が婚姻届を出した時、母親からは「そういうことは隠して生きていきなさい」と言われたけれど、今は一緒に傍聴券を求めて並んでくれて……社会も身の回りも大きく変わったと感じます。今回の判決では原告の訴えを退けた結果になったけれど、違憲判断については両親も喜んでいました。

©文藝春秋

 ただ、今回の判決は「違憲である」ということを示しただけで、立法の方に投げた感じになっている印象を受けました。今後も話し合いがきちんとされていくことを期待します。大阪、名古屋、福岡でも同性婚訴訟は進行中だけれど、今回の判決が何らかの影響を与えるんじゃないかな。