紀宮さまと黒田慶樹さんの結婚を人々が歓迎した理由
2005年、紀宮清子内親王(現・黒田清子さん)と結婚した東京都職員の黒田慶樹さんに対し、今回のような批判はなく、人々はその結婚を歓迎していた。長く内廷皇族として天皇・皇后を支えていた清子内親王は36歳で、世間には結婚を待ち望む声もあった。しかも、新潟中越地震の被災者に配慮して婚約内定を延期したことも、自身たちのことよりも被災者のことを思う平成の皇室の姿として、評価された。
婚約時の「これまで紀宮さまの側近の間では、『紀宮さまには、例えば研究者のような、地道にその道一筋を貫く人がふさわしいかもしれない。財力もある程度あれば』などの言葉が多く聞かれた。地方自治体職員の黒田さんとの婚約内定は、こうした関係者にも新鮮な驚きを提供している」(「毎日新聞」2004年11月15日)という表現からは、清子内親王が世間的には堅実な職業にある男性と結婚することになったことに対して、今まで以上に親近感を覚え評価している様子が見てとてる。
黒田慶樹さんが上昇志向の結果として清子内親王と結婚するわけではなく、都庁職員として勤めつつ、「恋愛結婚」したことが歓迎されていたのである。黒田慶樹さんが「清々粛々と仕事に取り組」む(「毎日新聞」2005年1月5日、本人の言葉)姿を見せたからこそ、婚約から結婚に至る過程でも多くの人々からの祝福を受けたのではないか。
小室圭さんからは、上昇志向のエネルギーを強く感じる。それは、現代の競争社会において勝ち残るためには必要な要素であろう。ただし、人々が皇室に抱き理想としていた姿は、むしろそれとは対照的なものであった。だからこそ、小室圭さんの文書に強く反発するのではないか。