マンガ『うつ病九段』(文藝春秋)は、うつ病になって休場を余儀なくされたプロ棋士の先崎学さんが、リハビリを兼ねて綴った闘病エッセイを、漫画家の河井克夫さんがコミカライズしたものです。1年間の闘病を経て、現役復帰するまでの過程がリアルに描かれており、 “うつ”脱出のための貴重なヒントが散りばめられています。

(第1話を読むにはこちらから)

誕生日の翌日、異変が起きた


 先崎九段を“うつ”が襲ったのは、47歳の誕生日の翌日でした。

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 頭がどんよりと重く、将棋を指しても対局にまったく集中できない。

 

 

 そのうち、1日のうち何度も電車に飛び込む自分の姿が脳裏をよぎるようになります。

 

 
 

「学、入院するんだ。このままでは自殺の恐れがある」

 

 精神科医の兄からのアドバイスによって、先崎さんは東京・信濃町にある慶応大学病院精神神経科への入院を決意します。