新型コロナウイルスの拡大で困窮した飲食店などを救済するために設けられた「持続化給付金」。売り上げが減少した個人事業主に100万円が支給される制度だが、この給付金が食い物にされる事件が全国で相次いでいる。

 摘発された人数は全国で数百人に上り、この中には、慶應義塾大学に通う大学生など、これまで犯罪に縁がなかった人たちが数多く含まれていたことが分かっている。こうした中、大阪で明らかになった不正受給事件は、一般の人にも犯罪が急速に広がっている深刻さを浮き彫りにするものだった。

“普通の主婦”が給付金詐欺に堕ちる

 今年2月、持続化給付金の不正受給を行ったとして、大阪市の自営業・平川誠被告(43)ら、男女4人が詐欺の疑いで逮捕され、その後起訴された。平川被告は、妻などとともに、他人の名義で個人事業主であると偽り、うその申請を繰り返していたとみられるが、驚くのは、申請に使われていた名義の持ち主だ。

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※写真はイメージです ©iStock.com

 

「申請の名義貸しをしていた人たちの中には、一般の主婦たちが含まれていたんです。詐欺事件で、主婦が被害者となることはありますが、犯罪に加担するケースはあまり聞いたことがなく驚きました」(全国紙社会部記者)

 主婦たちは、どのようにして、給付金詐欺に加担するに至ったのだろうか。捜査関係者が明かす。

「平川被告のグループと繋がりがあったA子という50代の女が、1つの起点になったとみています。A子は、まず、昔からの知り合いだった同年代のB子に不正受給を持ちかけます。話に乗ったB子は、名義貸しをして、100万円を受給。ただし、自分の取り分は40万円だけで、残りの60万円は手数料としてA子に渡していたようです」(捜査関係者)

平川誠被告 ©共同通信

 コロナ禍で経済的な不安があったのか、はたまた簡単に多額の金が手に入ることに目がくらんでしまったのか。主婦仲間の間で不正の連鎖はさらに続く。