昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

特集クイズです

最近のクイズ番組から失われたもの クイズ王・能勢一幸が語った未来

「実力があっても、答える声がすごく小さくてはショーにならない」

最近のクイズ番組は「ショー」を意識していない

――能勢さんがテレビに引っ張りだこだった「クイズ王ブーム」から20年以上経ちますが、現在のクイズ番組はどのようにご覧になっていますか?

能勢 現在は芸能人ばかりになってしまいましたね。かつての素人参加型番組はクイズの実力とともに、キャラクターも重要だったんです。ですから番組に出場するためには面接試験もありまして、制限時間の中で相手の興味を引く話がいかにできるかもポイントだったんです。その後のクイズ王ブームの時は実力さえあれば番組に出場できたので、私は面接を経験してきた最後の世代かもしれませんね。おかげで初対面の人とどうお話をしたらいいかのコツは身についていると思います。

――知識量だけではない戦いだったのですね。

能勢 その点、今の若い世代は圧倒的にクイズの知識を蓄えやすい。ネット環境があることで誰もが簡単にいい問題を入手でき、切磋琢磨できるライバル、仲間たちとつながることができます。だから最近は進学校の優秀な子たちが本気で取り組んで活躍していますよね。その一方で、実力があっても答える声がすごく小さかったりして、自分が見られていること、クイズはショーの一種であることを意識していないことも多いように思います。

 

クイズはアスリートの世界と同じですよ

――昨年一般社団法人「日本クイズ協会」(JQS)を立ちあげられたメンバーの一人だそうですが、そのあたりに理由があるんでしょうか?

能勢 うーん、そういったことよりもクイズの環境づくりといった方が良いかもしれません。協会の目的としては、高等学校文化連盟にクイズ研究会を「部活」として認めてもらうことも掲げているんです。そうすることで、将棋部や囲碁部のように、クイズ研究会、高校生のクイズ文化が発展しやすくなるよう環境を整備しておきたい。協会活動は資金も会費もこれから集めるような状態ですので、どうなるかは、まさにこれからです。

――能勢さんが高校生とクイズ対決する機会はありますか?

能勢 先日、日本テレビの「超問」というクイズ番組で、私と私の2代前のウルトラクイズ覇者・長戸勇人さん、初代覇者の松尾清三さんの3人で「高校生クイズ」優勝者の現役高校生や大学生などのチームと対戦をしましたが、最後は早押しで逆転されました。ご高齢の松尾さんも早押しで何問か正解されたんですが、やっぱり若い子たちの頭の回転と切り替えの速さには敵わないですね、悲しいことに(笑)。

――能勢さんをして、そうなんですか。

能勢 アスリートの世界と同じですよ。お決まりの問題文みたいなものだと、もう悔しいぐらい若い人は速いです。クイズを毎日どんどんやってさえいれば、クイズ脳といったものを取り戻す自信はあるんですが、ここのところ時間がなくて。アスリートの意地をどこかでまたお見せしたいところです(笑)。

 

構成=皆川秀
写真=佐貫直哉/文藝春秋

この記事の写真(6枚)