90年代に「クイズ王」としてクイズブームを牽引した能勢一幸さん。現在は埼玉県庁に勤めるかたわら、昨年立ち上げた一般社団法人「日本クイズ協会」専務理事としても活動しています。能勢さんが考える「勉強法」「雑学力」とは何か、お話を伺ってみました。

能勢一幸さん、現在48歳

つねに「傾向と対策」を考えたけれど……

――クイズ王になるために、どんな勉強をしたんですか?

ADVERTISEMENT

能勢 『ウルトラクイズ』とか『クイズグランプリ』の過去問題集をはじめ、市販されていたクイズ本を読みこんだのと、クイズ番組の録音です。テレビの前にラジカセを置いて、音を録音するんです。それを聞き直して、わからなかった問題をノートに書いて覚えていました。よく出される問題や傾向がつかめるようになり、この方法は武器になるなと思ったのが中学時代です。

――学校の勉強もコツコツやるタイプだったんですか?

能勢 まぁ、そうですね。クイズが好きになったことで、教科書好きになったのは大きかったかもしれません。特に、試験には出ないかもしれないけど、クイズには出るかもしれないという脚注とか細かいところ、雑学的なちょっとしたエピソードなどに興味を持って読んでいました。

2004年放送テレビ東京系「クエス・ファイブ」出演時。能勢さん(前列右)の隣は、女王・石野まゆみさん 写真提供:能勢一幸さん

――国語でいえば、書名とか作家のプロフィールとか。

能勢 ええ。それから日本語ではおなじみなものの英語名とか、珍しい漢字の読み方や熟字訓だとか、意外性のあるものは能動的に覚えたいという気持ちになりますね。教科書に出ているということは超難問というわけではなく、誰もが知っていていい知識だということ。そこがクイズと重なるひとつのバロメーターになるだろうなと気づきました。クイズの訓練をしたおかげで、今でも仕事や人間関係にはいい影響が出ていると思います。さまざまな話題のきっかけづくりになるので、丁度いいんですよ。

――知識を蓄えるうえで身に付けた勉強法みたいなものはありますか?

能勢 私の性格もあるのかもしれませんが、「傾向と対策」を常に考えるようになりました。早押し、〇×、3択、4択、番組によって問題の難易度も、ジャンルも変わってきますし、早押しひとつとっても担当するクイズ作家によって違いますから、できるだけ情報を集めて分析することが大切。ちなみに、今の番組は、昔のクイズ経験者がクイズ作家として手がけていることが多いので、問題自体も面白いし信頼度も高いですね。

――「傾向と対策」は試験でも相当役立ったのではありませんか? 

能勢 いえ、そうでもないんですよ。大学は「クイズ研究会に入ってウルトラクイズ優勝」だけを目標に入ったところがあるので、大学では全く勉強してませんで、社会人になってからも相当長い間、大学の授業についていけずに苦しむ悪夢を見ました(笑)。