文春オンライン
ベランダ50畳のワンルーム、玄関開けたら0秒でトイレ…日本で続々「ナゾの間取り」が生まれるワケ――2020 BEST5

ベランダ50畳のワンルーム、玄関開けたら0秒でトイレ…日本で続々「ナゾの間取り」が生まれるワケ――2020 BEST5

note

番外編:野球場に出現した「ナゾの住宅街」!その正体は…(@大阪)

 

 注文住宅の「対極」となる建売住宅。その選ぶ決め手になるのがモデルハウスだ。実物の住宅に家具・調度品を備え、新生活の見本を示すための施設である。

 なんと1990年代には、用途を失った旧野球場のグラウンドにモデルハウスを並べて「モデルタウン」を作った例がある。「大阪球場住宅展示場」がそうだ。立地はなんば駅に直結するという一等地で、下って2003年には同地に「なんばパークス」がオープンした。

 有力なハウスメーカーがそれぞれに趣向を凝らしたモデルハウスを建てただけでなく、本物の道路や街灯まで造作されるという手の込みようだ。いっぽうスタンドやスコアボードなどの構造物は撤去されなかったため、その姿はまさしく「野球場の中の町」となっていた。

ADVERTISEMENT

在りし日の大阪球場 ©文藝春秋

 この展示場の様子を、間取り図……ではなく「住宅地図」にすると上の図のようになる。図面製作にあたっては、空想地図作家の「地理人」氏にご協力をいただいた。

 この1枚の地図からは、いろいろなことがわかる。普段テレビで見慣れている野球のグラウンドに住宅地ができると、まさしく「回覧板2枚分(=50人から100人規模)」の町になるのだ。

 二塁手と遊撃手の定位置の間には、すっぽり2家族分の住まいが収まっている。また俊足の外野手たちは、はす向かいの家に飛び込むような快速飛球をキャッチしていることになる。

 プロ野球選手たちの「守備範囲」を身近なものに置き換えてみると、あらためて驚くほど広いことがわかる。テレビ中継を見る際もグラウンドを自分の近所に置き換えて打球を追ってみると面白いかもしれない。