好意を告白したbさんに突然「私は汚れているから」
2019年9月にX中学校へ転校した後、別のネットゲーム上で爽彩さんが出会ったのが、aさんの友人で、今年大学1年生になった関東在住のbさん(18・男性)だ。bさんが語る。
「彼女は家族と一緒に外食をした話をするときが、一番声も明るく、楽しそうにしていました。ただ、ゲームのチャット機能で話をしていても、過去の記憶がフラッシュバックするのか、気分の浮き沈みが激しく、昨年の夏頃が一番荒れていましたね。ごくまれに体調がよい時は、自宅を出て、公園などの外からネット回線をつないで、僕らと通話することもあったのですが、ほとんどが、自宅からの通話でした。話をしていても、急に塞ぎこんでしまい、いきなり電話を切られることも何度もあった。『死にたい』という言葉は、多いときで2日に1度は聞いていました。浮き沈みが激しいことから、ネットでの人間関係について悩むこともあったみたいです。
どこまで本気だったかわからないですけど、僕のことを『好きだ』とも言ってくれました。彼女はいろいろ自分のことを話してくれましたけど、自身が受けたイジメのことだけは決して僕には語ろうとしませんでした。でも、何かの話をしていると突然、『私は汚れているから』と自分を卑下して壁をつくってしまうことがあって。頻繁にネット上では話をしていましたが、現実では一度も彼女とは会ったことがありませんでした」
「絵に関わる仕事か、人が喜んでくれる仕事をしたい」
爽彩さんはbさんに何度か絵も送っている(下の写真参照)。爽彩さんはもともと絵を描くのが好きで、イジメを受ける前から頻繁に絵を描いてきた。イジメがあってからはそれまでの明るいタッチはなくなり、暗い色彩とモチーフの絵を描くことが多くなった。しかし、bさんへ送った絵の中には、昔の絵のような、明るく華やかなものもあった。
「彼女は、絵を描く際は自然に手が動くと話していました。彼女は凄く賢くて、何もなければきっと勉強はできたし、高校は進学校に行けただろうと思います。でも、PTSDのため、学校に行けなかった。出席数が少ないと学校の内申点に響くそうで、そのことについてとても悩んでいました。将来は絵が好きだから、絵に関わる仕事か、そうでなくとも人が喜んでくれることを仕事にしたいとも話していました」(bさん)