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「決まった!」ではなく「決まった。」 スワローズ村上宗隆のホームランを考える

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/05/07
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完璧な【決まった。】ホームランを打てるのは?

 なぜ「完璧」ではなく「かなり完璧」「結構」にさせてもらっているのかというと、場外ホームランはその時の佐藤輝の打順が6番だったという事と、満塁ホームランの方は打った瞬間はホームランと分かる打球ではなかったし、スイング自体はかなり崩されていたから。

 崩されながらスタンドに運ぶのも十分凄すぎるんですが、僕が思う完璧な【決まった。】ホームランとは……

(1)打席に入った瞬間から圧倒的なスター性全開のオーラが放たれている

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(2)チームの核である4番を全幅の信頼で任されている

(3)完璧なスイングと完璧なフォロースルー。そして、打球を見ながらゆっくりと歩き出す

 この3つが揃った状態で打たなければいけないと思っていて、現状、この三拍子が揃っているのは球界でただ一人しかいません。

 それは、今季も開幕から全試合4番で出場し続ける我らが村上宗隆。

 その村上が4月13日、神宮での横浜戦5回裏に大貫晋一投手から打った瞬間にそれとわかる、右中間スタンド上段に運んだ3ランホームランこそ、今季ここまでで一番の完璧な【決まった。】ホームランでした。

3ランホームランを放った村上宗隆

 大貫投手の持ち球であるツーシーム系、スライダー、チェンジアップをしっかり見極めていきカウントは3−1。ストライクゾーン高めに浮いてきたチェンジアップを見逃さず振り抜いたそのスイングの美しさ。

 そして、その後のフォロースルーから自分の打った打球の行方を確認し、着弾する前にゆっくりと歩き出す一連の流れ。

 テレビで観てて声に出ましたもん。

「決まった。」って。

 広島の鈴木誠也やソフトバンクの柳田悠岐、日本ハムの中田翔などは4番以外の出場もありますし、巨人、岡本和真は原監督の性格や、戦術上まだまだ不動の4番とは言い難い。

 阪神の佐藤輝明はもちろん、ロッテの安田尚憲などが村上宗隆をこれから追ってくる存在になりそうな感じがしますが、三拍子揃うにはまだまだ。

極上の【決まった。】を味わえる歓び

 つまり、今、現在この極上の【決まった。】を味わえるのは間違いなく我々スワローズファンだけなんです。

 それでなくても山崎晃大朗の奮闘や山田哲人&青木宣親の復調、オスナ&ヒッパリナ、いや、サンタナ両外国人の加入、川端慎吾の復活。そして、背番号6を背負う元山飛優に稲妻のような脚力を持つ並木秀尊というルーキーの力。

 これだけ楽しい事だらけの野手陣にプラス【決まった。】付きですよ。

 もう考えれば考えるほど、幸せな気持ちになります。

 あぁ、この【決まった。】を含めた幸せな気持ちを早く6月8日の副音声で喋りたい。

 村上さん、当日に生【決まった。】を言わせてくれると信じてます。

 くれぐれも、雨天中止が【決まった。】になりませんように……。

◆ ◆ ◆

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