5月9日の母の日。プロ野球が開催された6球場ではピンクがとても目立っていた。

 毎年、各球場で母の日にちなんだイベントは行われてきたが、今年は初めてNPBが主体となり「NPBマザーズデー2021」と銘打つ形で実施された。

母の日当日にピンク仕様の野球道具を手に。左からホークス松本、和田、石川 ©田尻耕太郎

 球場ビジョンで選手による「お母さん、ありがとう!」メッセージの放映。出場者はオリジナルピンクリストバンドを着用(着用は任意)。選手ならびに審判員出場者のピンク色のアイテム(バット、スパイク等)の使用が企画された。

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 これまで各球団任せだった「母の日」にちなんだイベントが、このような形で行われたのは十分評価できるし、一歩前進と言いたいところだ。しかし一方で、すでに各球団で取り組まれている「もう一つのメッセージ」をしっかり打ち出してほしかったというのも本音だ。

ピンクのバットを使用した選手も。打席はホークス松田宣浩内野手。審判もピンク色の装備を着用 ©田尻耕太郎

「タカガールデー」に込められた大切なメッセージ

 長年にわたりホークスを取材する中で、今年も「タカガールデー」がやってきた。8日と9日の2日間にわたり行われたライオンズとの公式戦当日は、一塁、二塁、三塁の各ベースがピンク色に装飾されたり、ネクストバッターズサークルやホークスビジョンなども同じくピンク色に染められたりする特別仕様となっていた。

 ただ、これは単に女性ファンに喜んでもらうための仕掛けではなく、大切なメッセージが込められている。

 ホークスでは「タカガールデー」の前身イベントである「女子高生デー」時代の'09年からピンクリボン運動を行っているNPO法人とずっとコラボレーションし積極的な啓発活動を行っている。

「ピンクリボン」は乳がんの正しい知識を広めて、乳がん検診の早期受診の推進などを目的として行われる世界規模の啓発キャンペーンのシンボルマークだ。

 現在マリーンズの鳥越裕介二軍監督が'08年に愛妻を乳がんで亡くしており、言葉だけじゃなく活動を通じて知ってもらいたいとホークス球団にピンクリボン運動の存在を伝えたのがきっかけとなった。