昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2017/11/05

ホスト役に徹していたバレンタイン監督

 バレンタイン監督が考えていた優勝旅行というイベントの意義。それは長いシーズンを影で支えた裏方への慰労、そして選手を含めたチーム全員の家族に対する感謝の気持ちを表すことだった。だからこそ、バレンタイン監督はいつも以上に陽気な姿勢に徹していた。そこには「この旅行の期間は一年間頑張ってくれた部下たちのために尽くそう」という気持ちが込められていた。到着初日に行われたパーティーでは、20以上あった、すべてのテーブルを回り、全員に声をかけて回った。

「あなたの夫はよく頑張ってくれた。だから、今年は優勝できた。本当に最高の仕事をしてくれた」

 選手の家族には最高の賛辞を送った。この言葉で長いシーズン、家を守ったその妻、そして子供たちも報われた気がしたはずだ。写真撮影を頼まれれば気安く応じた。また、自らが、ステージに上がり、ハワイアンのように踊ることで場を盛り上げた。そこにはホスト役に徹しようと必死になる日本一監督のけなげな姿があった。

 旅行の最終日。指揮官はもう1泊する日程だったにも関わらず、出発前の早朝のロビーに姿を現した。そして「楽しんでくれたかい? また来年、頼むね。また、みんなで旅行に行こう」と一人一人に声をかけてまわった。そしてバスの出発を見守り、手を振り、別れを惜しんだ。短い優勝旅行だったがマリーンズはあの時、家族をも含め、強く結束された。

 今でも不思議と関係者の間ではよくあの時の話になる。私が当時0歳の長男をおんぶしてダイヤモンドヘッドに登った話など色々な思い出話をしていると時間が経つのを忘れるほど楽しい。だから、やっぱり今のこのメンバーともう一度、優勝旅行に行ってみたいと思う。今年も日本シリーズを見ているとあの時の歓喜の胴上げ、ビールかけのシーン、優勝パレードが走馬灯のように蘇り、最後にハワイでの旅行が脳裏をよぎる。チームメートだけではなく家族も一緒に楽しく過ごした4泊6日。今も色あせぬ思い出。だからこそ、もう一度、味わいたい。

優勝パレードでのボビー・バレンタイン監督 千葉ロッテマリーンズ提供

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム 日本シリーズ2017」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/4518 でHITボタンを押してください。

対戦中:VS 読売巨人軍(プロ野球死亡遊戯)

※対戦とは同時刻に記事をアップして24時間でのHIT数を競うものです。

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー