2002年、喜久子さまは「女性天皇容認」のお考えを公表
男系男子の皇位継承を絶対視する保守派と呼ばれる人々は、皇室の祖とされる天照大神が「女神」と伝承されていることについては「神話だから」とスルーするが、10代8人の女性天皇がいたという歴史的事実については、どう考えているのだろうか。
「昭和天皇の弟に当たる高松宮さまの妃・喜久子さまは愛子さまが誕生された直後の2002年1月に発行された雑誌へ愛子さまの誕生を祝う手記を寄せ、『(女性天皇は)決して不自然なことではない』と女性天皇即位を容認するお考えを示されています。
喜久子さまは徳川幕府第15代将軍・慶喜公の子息・慶久氏と、後の大正天皇の教育係を務めた有栖川宮威仁親王の子女・實枝子女王との間に生まれた方ですが、それにもかかわらず進歩的、開明的なお考えの持ち主だったとお聞きしています。“愛子天皇”の実現に思いを馳せて、手記を寄せられたということなのではないでしょうか」(同前)
世論調査では、女性天皇に賛成は2020年4月の共同通信によるもので実に85%(どちらかと言えば賛成を含む)に上り、19年11月の時事通信(男系男子にこだわる必要はない)と同年4月の朝日新聞でも76%に上っている。
宮中祭祀において女性が天皇では差し支える?
こうしたことから見ても現在の国民の視線は、森喜朗元首相が東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長職を女性蔑視発言で引責辞任に追い込まれたように、日本で遅々として進まない「男女平等」の実現の可否に向けられていることは間違いないだろう。
「“愛子天皇”実現に反対する意見の中には、外交儀礼上は現在でも国家元首として処遇される天皇が、神道の祭司でもある点を大きな理由に挙げる人も多いようです。宮中祭祀において女性が天皇では差し支えるという見解です。
神事には女人禁制の伝統があるというわけです。2018年4月に行われた大相撲の春巡業で京都府舞鶴市長が土俵上で倒れた際、市長の救命措置のため土俵に駆け上がった女性の看護師らに日本相撲協会側が、神聖であるとされることを理由に土俵を下りるよう求めるアナウンスを流して物議を醸した騒動が象徴的な事例です。