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ランドオペレーターは軒並み廃業の危機

柏倉 それに、海外旅行では「ランドオペレーター(地上手配会社)」という業種がありますが、その会社が軒並み廃業の危機に追い込まれています。旅行業界は分業制になっていて、私たちが海外旅行を受注すると、日本人が各国で経営しているランドオペレーターにホテル、バス、レストランなどの手配をお願いするんです。

 ところが今、海外旅行がゼロで、国内もGo Toの恩恵が全くないので、もうどうしようもない。ヨーロッパ地区を中心に展開する大手のランドオペレーター会社も静かに昨年の10月に会社を解散しました。裏方だから目立たないですが、社員が数百人いて、影響はものすごく大きいです。旅行業だけでなく、旅館・ホテル含めて、みなさんが思っている以上に閉鎖・クローズしています。

──ランドオペレーターをしていた人たちは、英語をはじめ語学が堪能で、優秀な人たちが多かったのではないでしょうか。職を失った業界の方々は、今、どうしておられるのですか。

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柏倉 ウーバーイーツや配送業や介護施設に転職する人が多いと聞いています。また、ホテルの清掃係になった人や、農業にチャレンジする人の話も聞いたことがあります。そうした分野は人手不足で、労働の再配分になるから問題ないという意見もあるでしょう。でも、口で言うのは簡単ですが、20~30年旅行業に携わっていた人だと、いきなり別の業界で働けと言われても、対応できない人が多いと思いますよ。

──そもそも旅行代理店に就職される方というのは、旅行が好きでこの道に入った人が多いのではないでしょうか。

柏倉 飛行機に乗りたい、鉄道や路線バスが好きといった人が多いですね。学生時代に初めて行った海外旅行で感動し、それを仕事にした人も多いと思います。私も最初は金融機関に就職したのですが、お金のトラブルに巻き込まれて、つらくなってやめたんです。旅行会社に転職して「これは天職だ」と思いました。行ったことのない温泉地に行ったり、素晴らしい景勝地を観たり、美味しい食事を楽しんだりすることができる。その感動をお客様にも味わってもらいたい。それが私たちの仕事なんです。

後編に続く