昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/05/15

source : 文春文庫

genre : エンタメ, 読書, ライフスタイル, 社会

賛美のシャワーを浴びせまくると、ついに乳房があらわに

 興味深いことに、真面目そうな女子大生は真面目そうなADが連れてくる。遊んでそうな女子大生はやはり遊んでそうなADが連れてくる。似た者同士がひかれるのだろうか。

 外が見えると、かえって脱ぎづらくなるのでは、と私は思っていたが、どうやらそれは私の杞憂だった。

 トレーナーにジーパンという地味なスタイルの女子大生はしばらく考え込んだ末に、脱ぎだした。

 下着だけになった彼女は、この次、下着を脱ごうかどうか、ためらっている。

 私服の上からでは判別できなかったが、下着姿の女子大生の姿態は艶かしい曲線を描き、胸が下着からこぼれ落ちそうだ。

©iStock.com

 ブラジャーに手がかかった。

 サダージ深野の口舌は巧みで、賛美のシャワーを浴びせまくると、ついに乳房があらわになった。

 行き交う歩道の中でいきなり脱ぎだしたかに見える。

 マジックミラー号製作費30万円の他に、彼女たちへのギャラがトータルで10万程度ですむのだから、空中ファックの散財ぶりに比べたら、はるかに安上がりだ。

「おまえらー! 仕込みなんか用意してたらただじゃおかねえぞっ!」

 翌週。

 銀座、赤坂、六本木にてマジックミラー号の撮影がおこなわれようとしていた。

 高橋がなりは次の企画打ち合わせで忙しいのか姿が見えない。

 ADたちの顔に青あざがあった。

 言いにくそうにしているが、どうやら前回のマジックミラー号の女性の中に数人の仕込みがいたことに、高橋がなりが怒り狂ったらしい。

 スタッフが前もって、通行人がまったく協力してくれなかった場合を考えて、企画系女優を数名、通行人役として紛れ込ませていたという。

 たしかに、なかにはいかにも脱ぐのが仕事といったOL風がいたが、素人ではなかったのだろう。

 だが、印象に残る短大生などは、やらせではなく本当の通行人だった。

 本日は、高橋がなりに内緒で仕込みを用意しているのだろうか。

 六本木で粘ってみたがなかなかかんばしい成績があがらない。

 マジックミラー号が移動する。

 助手席のADが真っ青な顔になって、悲鳴をあげた。

「自転車に乗って……追いかけてきますっ!」

 マジックミラー号の後を追って、高橋がなりが必死の形相で自転車をこいでいる。

「おまえらー! 仕込みなんか用意してたらただじゃおかねえぞっ!」

 高橋がなりは真底真剣勝負が好きなのだ。

 しかし、この男の下で働くADも大変だろう。

【前編を読む】華道家からヤクザ、そしてピンク映画の助監督…セクシービデオ界の巨匠“代々木忠”の波乱万丈すぎる半生とは

新・AV時代 全裸監督後の世界 (文春文庫)

本橋 信宏

文藝春秋

2021年5月7日 発売

この記事の写真(2枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春文庫をフォロー