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持ち物追跡タグでストーカー被害に遭ったらどうする?使わない人も知っておきたい、自衛のためのApple「AirTag」の基礎知識

2021/05/14
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位置情報はどのようにして発信される?

 AirTagは自前で通信機能を持っているわけではなく、近くにあるiPhoneを使って位置情報を不定期にクラウドに送信します。リアルタイムで位置情報を発信するGPS内蔵の発信機と違い、iPhoneのBluetooth通信を使うため、iPhoneが近くに1台もなければ位置情報は発信されません。またiPhone以外のデバイス、例えばAndroidやWindowsノートを経由し、位置情報が発信されることもありません。

 ちなみに距離がある程度近づくと、所有者のiPhoneと直接通信して位置を探せるようになり、具体的な距離や方角を表示できるほか、iPhoneから音を鳴らして所在を知ることもできるようになります。

AirTagがひもづけられたApple IDでログインしているiPhoneからは、「探す」アプリでAirTagの場所を探せます(左)近距離であれば具体的な方向や距離を表示したり、音を鳴らすこともできます(右)

街中に落ちていたAirTagを拾った。どうすればいい?

 自分のものでないAirTagを拾得した場合、状況によっていくつかの対処方法が考えられます。まず、誰が拾うか分からない場所、例えば駅や人通りの多い往来などで、落ちていたAirTagをたまたま拾った場合は、純粋な落とし物の可能性が高いため、拾得物として届け出るのが無難です。

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 なおAirTagにスマホをかざせば、所有者が書き込んだ連絡先などの情報を表示できますが、悪意を持ったユーザがこの仕組みを使い、善意のユーザにコンタクトを図ろうとするケースが出てくることも、将来的には考えられます。拾得物の届出先を記載の連絡先に知らせる場合も、捨てアドや、相手に番号が伝わらない公衆電話などで行うのが無難です。

NFCに対応したスマホをかざすとAirTagのシリアルナンバーなどの情報が表示されます。iPhoneに限らず、NFC搭載のAndroidでも表示可能です
AirTagには所有者が連絡先などのメッセージを書き込んでいる場合があります(左)電池を抜けば位置情報は所有者に伝わらなくなりますが、後述するようにリスクもあります(右)