少しずつ、かつての日々を思い出しながら取材は進む。記憶の甦りとともに話はとび、しかし最後はしっかりまとめ上げる。どんな番組でも抜群の安定感でMCを務めていた中島がそこにいた。
デビューするや否やレギュラーを獲得、順風満帆に芸能界を歩み出した彼女に暗い影を落としていたのは、芸の厳しさでも仕事の不安でもなく、逃れられない「呪縛」だった。事前に「あの時の話はしない」と我々に告げていた中島が、重い口を開く。家族のこと、事務所のこと、そして独立のこと。 (全3回中の2回/1回目から読む)
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——当時、テレビで見ない日はないというぐらい、いろんな番組に出演されていましたが、どうやってあの忙しさをこなされていたんだろうと。きつくなかったですか?
中島 全然きつくはなかったです、若いから。最初、レギュラーをもらった時は、19ぐらいかな。あ、すみませんちょっと……私、ピアスをつけ忘れてて。
——どうぞ、どうぞ。
中島 失礼しました。
——素敵なピアスですね。
中島 ありがとうございます。これ、いいやつに見えて、250円ぐらいなんです。大分、すごいですよ。
——ほんとですか?
中島 そうなんですよ。いいデザインのものが安い。大分って文化的には洒落てるのに、外には絶対言わないお国柄というか。ちょっと面白いですけどね。
——街の雰囲気はハイカラですもんね。
中島 そうそう。若い子とかオシャレでかわいい子多いのに「大分は別に大したことないんで」みたいな感じなんです。関西人からしたらちょっと意味が分からないですよね(笑)。
——謙虚な県民性なんでしょうか。
中島 謙虚もあるし、どっちかというと個人主義というか、好きにやればいいというか。人が困ってると助けるけど、それ以外は「めんどくせえやろ、おってもな」みたいな感じで。すごい不思議。そうだ、大分出身の女優の子、最近独立しましたよね。ホフディランの『スマイル』カバーしてた……
——森七菜さん。
中島 そう、森七菜ちゃん。1週間ぐらいでさっと独立できて、またちょっといいところに入って、周囲にも特に何も言われてないみたいだから、よかったですね。私の時は大変だったから。
“美人芸人”と呼ばれたことに思うこと
——芸能界の価値観の変化というのも、すごくあると思います。つい先日、3時のヒロインでネタを担当している福田さんが「容姿いじりのネタは書かない」と宣言して話題になっていました。
中島 そうみたいですね。
——考えてみたらオセロは、いわゆる“美人芸人”のはしりではないかと思うんですけど。
中島 大丈夫ですよ、気を使ってくださらなくて(笑)。
うーん……私は何も考えてなかったなぁ。当時の社長が「美人ということで売り出すんやぞ」と社員に号令をかけて、はなから美人という設定で行ったわけですよね。それでメイクもパキッとしたり、ちょっとボディコンっぽい、レースクイーンみたいな格好で朝の番組に出たり。何の意味があるんかな、っていうのもあったんですけど。