——自分が先じゃないんですね……。 

中島 びっくりですよね。

「下戸でいいなら、つきあわさせてください」という時代に

——大御所の方と言えば、飲みに誘われたら断れないとか? 

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中島 アッコさんの名前がでたからじゃないですよね(笑)。強要されたりとか……私はないですね。たぶん、他の人もないんじゃないかな。飲み会や打ち上げの多い時代ではあったんですが、皆さん優しかったですよ。

 事務所入って最初のころは会社の飲み会に行ったりしてたけど、すぐ面倒くさくなって、吉本やナベプロの他の事務所の人と飲むことのほうが多かったですね。同じ事務所の人はすぐ説教くさくなるので。あとなんか地味だし(笑)。

 私は飲める方なんですけど、飲めない人でも大丈夫で、「下戸でいいならつきあわさせてください」という時代に入ってた気がします。

——無理に飲むことはしなかった。 

中島 でもそれ舘ひろしさんに言ったら「そんなんじゃ石原軍団のイの字にも入れない」と。石原軍団は若手にとにかく食べさせる。(石原)良純さんは食べきれなかったお好み焼きやらまんじゅうやらをポケットに詰め込んでたって。 

——良純さんそれ絶対後からバレる(笑)。 

中島 ね(笑)。私らの時代はそんな時代じゃなく、みんな優しい時代になろうとしてた。あ、石原軍団の方々も、軍団以外の人には、超ジェントルマンなんですけど(笑)。

 少しずつ優しい時代になっていったのは、生放送の呪縛から解かれていたかもしれないですね。私たちの前の世代の方は生が多くて、全部一発OKで、ノーミスでいかないきゃいけないと聞いていました。今はまた違う「厳しさ」の時代が来てると思うんですけど。 

——「生放送」を成功させるゆえの厳しさから、少し緩やかになっていった時代。 

中島 そうですね。ただ、これだけ言っておいてなんですけど、自分は「分析」っていうのがあんまり好きじゃないんですよ。自分が面白いなと思ったらそれでいいのかなと思っていて。好き嫌いの面白さがあるから。

 

「正解」でも面白くないと使われないぞっていう、テレビにはそれがあるんやろうなと思って。以前さんまさんの番組にコンビで出た時、さんまさんが相方に、「お前、2時間たって一言もしゃべってへんのやから、おらんことになっとんぞ」って言ったことあったんですね。

 言われたほうも焦ったでしょうけど、横にいる私も頭真っ白になってね。コンビで出てたから連帯責任だ、とか思って、厳しすぎて泣きそうでしたが、「埋めんと」と思って、慌てて喋って大空回り(笑)。

 さんまさんの現場は、よくみんな戦場に例えるんですけど、あれ大袈裟じゃなくて本当ですから。戦い合えとかじゃなくて、俺と戦え、ですから。そりゃ、みんな倒れますよ。倒れても立ち上がってもう一回いったら「ダメダメ。お前さっき死んだやないか」とか言われて。悲惨ですよ。

 でもそれをオンエアでそのまま使ってくださる時があるから、「あきらめないで。何度も立ち向かって行って」と後輩には言いたいです。あ、でも第七世代の子たちは、果敢に向って行ってるところをよく見ます。すごいですよね。第七世代ってなんなんですかね(笑)。 

「恐怖感」みたいなのは当時の方があったかもしれないですけど。テレビしかなかったですからね。みんなテレビに出してもらわないと何も始まらない時代。テレビオンリーの時代だったでしょう。今はネットもあるから。