衣装や小道具に頼らず、演技とセリフのみで笑いをつくる
「ふだんは観られない角度から撮影した映像を盛り込んだり、メイキング映像も公開したり。配信ならではのプラスアルファをできるかぎり付けて、楽しんでいただけるようにしました」
演出・脚本の飯塚健さんに話を聞けた。映画監督が本職ということもあって、配信のかたちとなった今作を、映像作品としてのクオリティと愉しみに満ちたものに仕上げたという。
演じているとき以外の出演者の姿もさまざまに追ったりと素材も豊富にとれたため、本編とメイキング映像の二本立てのコンテンツとして売り出すこととなった。
映像だけでなく、ステージ演出自体にも並々ならぬこだわりを施した。
「『コントと音楽』は、芝居をしたあとにそのままステージで歌うかたちなので、突飛な衣装や小道具を使うわけにいかない。演技とセリフのみで笑いをつくらざるを得ず、その分、演出も脚本もきっちり仕上げていきました。
今回は映像配信だからといって、笑い声を足して『笑いどころ』を示したり誘導したりするようなことはしていません。観てくださる一人ひとりが自分のペースで、自分の笑いを見出していってくれたらうれしい」
配信映像でも「非日常な世界」を味わってほしい
音楽プロデュースの海田庄吾さんは、今作の「音」へのこだわりをこう教えてくれた。
「『コントと音楽』は本来なら、ライブハウスで『非日常な世界』を味わってもらうもの。今回の映像配信でも、お客さんには観ているあいだ夢から覚めないでいてほしかったので、できるだけずっと夢見心地でいられるよう音楽を響かせつなげていったつもりです。作品のオリジナルな世界観に浸ってもらえたら」
『コントと音楽』シリーズは秋頃に、「モーション・ブルー・ヨコハマ」から東京丸の内「コットンクラブ」に会場を移して、「vol.3」としてリアル公演を開くべく準備を進めている。
ただしその際にも、ライブとともに映像配信での視聴ができるよう予定されている。エンターテインメントライブの現場では今後このように、配信コンテンツも付随するのがスタンダードとなっていくのかもしれない。
とりわけ「モーション・ブルー・ヨコハマ」や「コットンクラブ」、そして東京青山にあってジャズの殿堂として知られる「ブルーノート東京」などを運営するブルーノート・ジャパンは、日本がコロナ禍になって間もない時期から、いち早くライブの配信を手がけてきた実績がある。