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「海洋放出を独自に調査」対日強硬派として有名

 さて、肝心の外交だが、日本については強硬派として有名だ。

 2016年には、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)に強く反対しており、最近では、福島第一原発処理水の海洋放出に猛反発。京畿道では水産物の安全性や沿岸での放射能環境調査などを総合的に調査するとぶち上げた。しかし、前出記者はこれをパフォーマンスだと見ているという。

「これこそポピュリズム。現政府は米国が海洋放出について認める意向を示した後はIAEAの決定に従うと公表し、ただし、世論の反発を前に日本へ詳しい説明を求めています。李知事も大統領選を意識して世論を前に立場を明確にしただけ」

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李在明知事 ©getty

 李知事が対日関係のブレーンとして迎え入れるのではないかと噂される日本研究者は韓国では非常に合理的な思考の持ち主として知られており、「この研究者がブレーンとして入るのであれば、日本に対しては実用主義的な政策になるのではないか」(冒頭の中道系紙記者)という見方もある。

 また、喫緊に解決すべしといわれる徴用工問題などの歴史問題については、文大統領が任期中にすべきという声がメディアや日本研究者からでてきており、その行方いかんで次期政権と日本の関係も変わってくるとみられている。

大統領選に向けて“文の天敵”は…

 一方、保守派で次期大統領候補にもっとも近いといわれる尹前検事総長はいまだに立場を明らかにしていない(20日時点)。野党第一党の「国民の力」では尹前検事総長が降板した際の“プランB”の模索も始まっており、メディアからは、候補者としてさまざまな人物の名前が報じられている。

 果たして尹前検事総長は政界入りするのかどうか。

 5月10日に就任4周年の演説を行った文大統領は「自画自賛」とも言われる内容で国民からはそっぽをむかれたが、「訪米(5月19~22日)でワクチン追加供給などの成果を持ち帰ることで最後の挽回を図っている」(前出記者)といわれる。

©️getty

 沈みゆく太陽と昇る太陽。

 大統領選に向けて候補者が出揃う予備選挙までの第1レース。韓国政界では熾烈な争いが繰り広げられることになる。