まさかの「靖国(神社)ビュー」マンションに与党「共に民主党」が追いつめられている。

 来年3月の次期大統領選挙の前哨戦、ソウル・釜山市長補欠選挙が4月7日に迫り、舌戦が繰り広げられる韓国。そんな中物議を醸しているのが東京・赤坂のマンションだ。靖国神社が望める絶好のビューだそうで、所有者は、与党のソウル市長選候補者、パク・ヨンソン氏の国際弁護士の夫。当初は日本で活動するための住居だったが、最近8年間は賃貸にしていたことを認めている。

 広さは約71平方メートル、ソウル市長選候補登録時は価格を9000万円台と申告していたと報じられている。
 

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©AFLO

 野党「国民の力」議員は「3000ウォン(約290円)の日本製の缶ビールを飲んで、1万ウォン(約960円)の日本ブランドのTシャツを着ると親日だという与党の市長候補者が東京に靖国神社ビューのマンションを所有しているなんて、それこそ土着倭寇(日本に協力した親日そのもの)ではないか」と猛攻撃。

「土着倭寇」はそもそも与党が保守派を攻撃するためにわざわざ過去から引っ張り出してきた言葉だ。保守派が進歩派を「パルゲンイ(アカ、親北、共産主義者)」と攻撃することに対抗したともいわれるが、「今どきこんな言葉を使うなんて」と進歩層の中でも失笑が漏れていた。

土地の不正投機疑惑

 そんな「土着倭寇」で追いつめられたパク氏。所有していた部屋は靖国ビューとは反対側で、登記は残っているが2月に売り払ったと反駁し、公職選挙法違反と侮辱嫌疑で「国民の力」議員を訴えた。しかし、世論の反応はどこまでも冷たい。というのも、韓国社会を今、騒然とさせているのが“不動産“を巡る大スキャンダルだからだ。

文在寅大統領 ©共同通信社

 韓国政府傘下の「韓国土地住宅公社」(LH)職員複数に土地の不正投機疑惑が浮上したのは3月2日。告発したのは進歩系の「民主社会のための弁護士会」(民弁)と有力市民団体「参与連帯」で、某所からの情報提供により調査を進めていたという。

 LH職員は内部情報を得て、ソウル市郊外の新都市開発予定地の農地(7000坪=2万3028平方メートル)を購入していたとされた。2018年から2020年まで、職員の夫人や親戚14人からなる名義で、100億ウォン(約9億6000万円)の価格の半分あまりを借り入れていたことも分かり、「公共目的で土地を買い取って家を建てるはずの組織の職員が、その土地で不正に財テクか」と怒りの声が上がった。