大統領の支持率は30.4%と最悪を更新
LH不動産スキャンダルは国会議員や自治体の首長にも飛び火し、疑惑が次々と持ち上がっている。中には文大統領の旧友、ソン・チョルホ現蔚山市長の名前も。ソン市長は2018年の蔚山市長選挙の際に青瓦台が介入し当選させたのではないかという疑惑が浮上し、昨年起訴され、現在係争中の人物だ。
捜査は警察が特別捜査団を編成し進めていたが、公職関連の犯罪捜査はやはり検察の十八番という声が上がり、「特別検事捜査団」が組まれることになった。これも政権が進めている「重大犯罪捜査庁」(腐敗、経済、公職者、選挙、防衛事業、大型惨事などの6大犯罪を専門に捜査する組織)設立と矛盾していると批判が出ている。
一連の不祥事に文在寅大統領の支持率も下落するばかりだ。22日には就任後最低の34.1%に落ち込み、不支持率も62.2%となったが、24日には支持率30.4%、不支持率は67%とさらに最悪を更新している(世論調査会社リアルメーター)。
来年3月の大統領選挙で政権がひっくり返るかも…
肝心のソウル・釜山市長補欠選挙ではようやく与野党の候補者が出揃い、共に事実上、与野党の一騎打ちとなっていて、ソウル・釜山の野党両候補者に不動産の不正投機疑惑が持ち上がっている。しかし、支持率はソウルでは野党「国民の力」のオ・セフン候補が48.9%と29.2%のパク氏を引き離し(24日、リアルメーター)、釜山でも野党候補者55.1%、与党候補者31.5%(リサーチビュー)と野党候補者がリードしている。
選挙は土壇場まで分からないし、韓国の選挙は特に変数が複数絡まりがちで、結果の予想はまったくつかないが、「もし、野党候補がソウルと釜山というビッグマッチ選挙で勝てば、文大統領のレームダック化はますます加速し、政権の求心力を急速に失うでしょう。そうなると来年3月の大統領選挙で政権がひっくり返る可能性は高くなる」と政治評論家は言う。
10年単位で政権が保守、進歩でスイングしてきた韓国だが、現政権が「エセ進歩」と批判され、進歩層の中でも失望が拡がる中、政権交代は意外と早くに起きるかもしれない。
4月7日の選挙結果に注目したい。