身内には温情主義の文大統領
文在寅政権になって不動産は高騰するばかりで、繰り出した24回に渡る政策もすべて効果なし。「家が買えない」「借りられない」という若年層や、ようやく家を手に入れたと思ったら今度は税金を多く持っていかれるという家持ちからも不満が膨らんでいた。
世論の怒りをよそに昨年12月に就任したばかりの国土交通相はよりによって前LH社長で、国会答弁はしどろもどろ。そんな身内をかばってか、政府はLHの全調査を行うとしながらも、調査団の人事は政府内の人員で固め、しかも前政権時代の職員まで調査対象に含めた。さらに、文大統領はこのスキャンダルを「不動産積弊だ。いまこそキャンドルデモの精神で乗り切ろう」と言い放ち、大ブーイングが巻き起こった。「なんでも前政権のせいにすればいいと思っている」と中道系紙記者も怒りを隠さない。
「前LH社長の国土交通相が調査の指揮を執る調査団なんてもはやコメディ。国民を舐めるのにもほどがある。本人が辞表を出したのに進行中の政策を終えてからと文大統領は引き留めた。どこまでも身内には温情主義です。しかも、このスキャンダルを不動産積弊とは笑わせる。自分たちは常に正しくて、悪いのは前政権という主義。今の政権はもはや自分たちの利益を守るだけに汲々としている」
そんなことを言わしめるのは度重なる身びいきだ。
文大統領の側近といわれる法務相は特別指揮権を発動し、盧武鉉元大統領時代に国務総理を務めた進歩派の重鎮、ハン・ミョンスク氏の過去の事件の再捜査を命じた。ハン氏は任期中に政治資金を不正授受したとして起訴され、2015年に懲役2年となり服役した。しかし、文政権に入ると、この事件は「検察の高圧的な司法壟断」によるもので、「ハン氏は無罪」とする声があがった。法相の特別指揮権により最高検察庁で審議されたが、しかし、罪状が覆ることはなかった。ところが、法務相はこの結果を受け入れず、さらなる捜査を命じている。
また、昨年7月、セクハラ行為が訴えられた直後に自死したパク・ウォンスン前ソウル市長の被害者を「被害を訴えている人」と呼び物議を醸した与党の女性議員がこぞってソウル市長選候補のパク氏陣営に入っていることも発覚。「反省もみられない」と特に女性から非難する声が上がっていた。
前出記者はこう吐き捨てた。
「現政権は、ただの権力集団。エセ進歩ですよ」