来年3月の大統領選挙に向け、各党内の予備選挙への動きがにわかに慌ただしくなってきた。
世論調査では、保守系の尹錫悦前検事総長が1位を走っていたが、最近、与党「共に民主党」の李在明京畿道知事が逆転(42%VS35.1%、韓国ギャラップ5月13日)。李知事が勢いづいている。
非文派なのに、“親文”のボス格が協力
5月12日、李知事は発起人の規模が1万5000人ほどにもなる自身の支持集会「民主平和広場」を旗揚げし、そのメンバーに注目が集った。中道系紙記者が言う。
「『民主平和広場』の共同代表は李海チャン・『共に民主党』元代表の側近中の側近と、盧武鉉元大統領時代に統一相を務めた李鍾ソク・世宗研究所首席研究委員という大物2人。このほかにも盧元大統領の娘婿(弁護士)など名だたる人物が目につきます。
北朝鮮研究者として金大中、盧武鉉、文在寅という歴代大統領のブレーンを務める李首席研究委員を共同代表にしたのは、これまで通り南北融和を推し進めるという李在明知事の対北朝鮮政策の現れです。李研究委員と知事は盧武鉉元大統領時代に知り合ったといわれています。
また、いちばん目を引いたのは李海チャン元党代表の支持層を取り込んだこと。以前『今後20年は与党執権』と豪語した李元代表は親盧(熱烈に盧武鉉元大統領を支持する層)と親文(文在寅大統領を熱烈に支持する層)のボス格です。その人物が李在明に勝算ありと踏んで、今回その側近と自身の研究財団の多くを移行させた。この動きが他の親文勢力にどう影響するか、見物です」
非文派だったことが功を奏し、逆転の傾向
李在明知事は歯に衣着せぬ物言いから、「サイダー(すっきりしているという意味合い)李在明」といわれ、20~30代からの支持が厚く、2010年、京畿道城南市長選に当選し政界入りしている。
2017年には与党内の大統領選挙予備選に出馬し3位となり、その後は世論調査の次期大統領候補者の常連に。長い間、同党でもっとも大統領候補者に近いといわれた李洛淵元総理とはダブルスコアほどの開きがあったが、昨冬あたりから逆転し始め、最近では李知事28.3%VS李元総理13.7%(5月17日、PNR)と引き離している。
これは李知事が与党内で非文派、非主流だったことが逆に功を奏した結果だ。李洛淵元総理は親文の顔色ばかり窺っていると批判され、「自分の意見がない」(前出記者)といわれてきた。
昨秋、李元総理は、李明博元大統領・朴槿恵前大統領の特別赦免を提案したが親文の猛烈な反発に遭いすぐに撤回。最近、親文勢力の取り込みのために「特別赦免発言」について謝罪をしたこととは対照的だ。