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2度の危機を乗り越えた45歳のリーダーシップ——柏レイソル・下平隆宏監督インタビュー#1

2017/10/20
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「変えた」のではなく、元ある特徴を「強調した」

――積み上げというところで大事にしたのは?

「攻撃の第一歩目であるビルドアップですね。この第一歩目をしっかりつくっていかないと、いい攻撃はできません。結果が出ないとなると長いボールを使ったりというのもあると思うんですが、ビルドアップはレイソルのアカデミーからずっと継続していることなのでやっぱりそこはこだわっていこう、と」

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――下平さんは2年前までチームのU-18監督を務めており、トップチームにはアカデミー出身の中村航輔選手、中谷進之介選手、中山雄太選手をはじめ教え子が多い。

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「アカデミーでは将来を見据えたプレーモデルがあって、全スタッフで共有しています。特にビルドアップは凄く大切にしたところ。ゴールキーパーの中村がキャッチした瞬間、攻撃のビルドアップが始まります。キャッチしてからそのポジションを取るのでは遅い。キャッチと同時ぐらいにパッとポジションを取っておく。時間にして1秒か2秒ですが、そこが大切なんです。つまりは相手が守備の準備を始める前に、攻撃を仕掛けるということ。実はこれ、逆のことも言えるんです。相手が攻撃の準備を始める前に、こちらが守備の準備をしておく。頭の切り替えと、ポジショニングですよね。結果が出なかった時期、選手に意識させたのがまさにここでした」

――前からハイプレスを仕掛けていく組織的な守備。「変えた」のではなく、元ある特徴を「強調した」ということでしょうか。

「ボールを持つ自分たちのスタイルはありつつも、相手の嫌がることをもっとやっていくぞということですね。ビルドアップで攻撃の土台を意識すること。そしてハイプレスを仕掛けて相手の攻撃の土台を壊しにいくこと。そこを強調する意味でメンバーも少しいじることにしました」