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「そこはどうなの?という思いが」看板落下事故で国を提訴、車椅子生活の29歳アイドルに聞いた“今の心境”

2021/06/08

 3年前の春、国史跡の敷地内に設置された看板の下敷きになったことで脊髄を損傷し車いす生活となったアイドルグループ「仮面女子」の猪狩ともか氏。その猪狩氏と両親が、国に計1000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 この看板は国から委託された公益財団法人(以下、「団体」)が管理していたが、根本が腐った危険な状態が放置されていたという。

 以前、文春オンラインのロングインタビューに登場した猪狩氏に、国との裁判に至った経緯を聞いた。

Zoomで取材に応じた猪狩ともかさん

本来なら国がちゃんと確認する必要があったんじゃないか

――国を提訴することになった経緯を教えてください。

猪狩 団体とは和解が成立したのですが、それと同じくらいの時期に「国にも責任があるよね」ということになりまして、今年3月9日付けで国を訴えました。

「(団体だけでなく国も含めた)どちらにも賠償を求める」という話は元々あったんですが、実際に動き出したのは団体との和解が成立してからですね。

――訴訟を通じて、訴えたいことは何ですか。

猪狩 管理を団体に委託していたとはいえ、実際の委託の程度や、国側も管理状況を確認していたのかといった事実関係ははっきりしていないので、そこを明らかにしたい思いがあります。そして「本当にそれで良かったのか」「適切な管理が行われているか否かを、本来なら国がちゃんと確認する必要があったんじゃないか」といった問題を提起したいです。

国の当事者意識の薄さ

――これまでの国の対応をどう感じていますか。

猪狩 団体側と交渉をする中で、事故の全責任を団体だけに負わせているというか、「私たちは関係無いですよ」みたいなところを少し感じました。そこは「どうなの?」という思いがあります。

――国は裁判でどう主張しているのですか。

猪狩 棄却を求めて責任の有無を争う予定と聞いてます。

――国の当事者意識の薄さが、ご自身の中で引っかかった点でもあるのですか。

猪狩 そうですね。

――芸能活動と並行して国との裁判を進めていくことに負担を感じる、といったことはありませんか。

猪狩 1人で進めているわけではなく、主に家族が弁護士の方とやり取りして進めてくれているので、そこまで負担には感じていません。

 ただ裁判が公になったことによって、批判的な声もけっこう届いたりしていて、それは精神的負担になっているかな、と思います。