《(岸被告を)早く追い出さんとあたしの身がもたない》
「彼は当時ホスト見習いをやっていて、源氏名は『まこと』でした。まこっちゃんと呼ぶみゆ(山本被告)に倣って、自分もそう呼んでいました。でもカップルっていうよりは、互いを利用し合っていただけの関係ではないでしょうか。今回の瑠美さんの事件でも、みゆが脳みそでまこっちゃんが手足だったんだと思います。みゆにとっては、犯罪でも何でもしてくれるまこっちゃんに利用価値があったんだと思います。みゆから、こんなLINEが送られてきたこともありますよ」
そう言ってXさんがスマートフォンを差し出した。2019年4月頃の山本被告とのやりとりが表示されていた。
山本被告《(岸被告は)まじめんどくせー男、、、(中略)自分は仕事出来るホストってかってに思いこんで、あたしが居るから、○○○<男性の名前>とも仲良くなって中洲の上の奴ら知っとるみたいなえらそーな事言って、、、おまけにメンヘラやし、、、早く追い出さんとあたしの身がもたない、、、》
「みゆはまこっちゃんを遠ざけるためにホストの体験入店などに行かせることもありました。その間に自分は別のホストクラブで遊んでいた。好きだから一緒にいる、という風にはみえませんでしたね」
「『死臭がしてきた』と言っておにぎりを…」
一方、岸被告はどういう人間なのか。Xさんは山本被告を通して、岸被告とも交流があった。
「といっても彼のことはみゆ経由でしか知らないのであまり詳しくはありませんよ。ただ、ずっと定職につかず、みゆのヒモみたいな生活を送っていました。みゆと一緒にいれば金には困らないし、高級車も運転させてもらえる。岸にとっても、みゆに対してはそれくらいの気持ちだったんじゃないでしょうか」
岸被告は、山本被告とともに瑠美さんへ度を超えた暴行を重ねている。「みゆが脳みそでまこっちゃんが手足」であるというのであれば、岸被告は山本被告の言いなりになっていたのだろうか。
「みゆが主導していたとは思うけど、無理やりやらされていたわけではないと思います。それに、自分から見れば本当にモンスターみたいなのはまこっちゃんですよ。瑠美さんが車中で動かなくなったとき、みゆは『どうしようどうしよう』『助けて』と相当焦っていましたが、まこっちゃんは平然としていた。
遺体を運ぶドライブの最中、田中被告が電話で瑠美さんの遺体を埋めようと提案したときも、まこっちゃんは『俺できるっすよー』という軽い調子でした。みゆの反対で結局埋めることはしませんでしたが……。
しかもまこっちゃんは『(瑠美さんの遺体から)死臭がしてきた』とか言いながら、コンビニで買ったおにぎりを食べていました。本当に狂っているなと思いました」