2019年9月下旬~10月20日ごろ、福岡県太宰府市で主婦・高畑瑠美さん(当時36)が太ももをナイフや割り箸で刺され、20日午前4時50分ごろまでに外傷性ショックで死亡した「太宰府主婦ホスト漬け傷害致死事件」。今年3月、山本美幸被告(42)と岸颯被告(25)が瑠美さんへの傷害致死や監禁、恐喝などの罪で有罪となり、それぞれ懲役22年と15年を福岡地裁で言い渡された。
10月20日午前5時過ぎ、山本被告と岸被告は、瑠美さんの遺体を乗せた車で中洲の駐車場を出発し、太宰府市内のインターネットカフェの駐車場に到着するまで1時間あまりの“ドライブ”をしている。運転席に岸被告、助手席に山本被告、そして別の男性が瑠美さんの遺体の横に座った。
この男性は山本被告との10年来の知人である男性Xさん(37)だ。この日、山本被告がXさんの経営するバーに飲みに来ていたため、事件に巻き込まれることとなった。Xさんは福岡県警に死体遺棄容疑で逮捕され、後に不起訴。Xさんは「自分の身を守るため」に車内での会話を録音しており、それが裁判で重要な物証になった。
Xさんは山本被告から信頼されていたのか、瑠美さんへの凄まじい暴行が垣間見える写真をLINEで送られてもいる(太宰府ホスト漬け傷害致死事件 関係者Xさんの告白 #1)。Xさんは「文春オンライン」の取材に応じ、初めて事件について真相を語った。(全3回の2回目。#1から読む)
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女帝との出会い「ヤクザのお父さんがいると…」
予期せぬ事件に巻き込まれてしまったXさんが、山本被告と知り合ったのは約10年前だ。当時から山本被告は“女帝”さながらに福岡県・中洲の繁華街で取り巻きを連れて豪遊していたという。
「知人を通して知り合ったのですが、みゆ(山本被告)はヤクザのお父さんがいて、そういう知り合いも背後にいると豪語していました。キツい酒をホストにガンガン飲ませて楽しむタイプで、金を落としてくれるから、ホスト達もビビリながらヘコヘコしている感じでした。
同じように扱われたくはないな、と思ってみゆが望むことをやってあげて、気に入られようとしました。でも、たまには冗談であえて貶すんですよ。そうすることでみゆと対等の関係を築いていきました。自分が対等の関係になれば、自分の店の従業員や大切な人をみゆの“無茶ぶり”から守れますから」