2019年9月下旬~10月20日ごろ、福岡県太宰府市で主婦・高畑瑠美さん(当時36)が太ももをナイフや割り箸で刺され、20日午前4時50分ごろまでに外傷性ショックで死亡した「太宰府“主婦ホスト漬け”傷害致死事件」。
今年3月、山本美幸被告(42)と岸颯被告(25)が傷害致死や監禁、恐喝などの罪で有罪となり、それぞれ懲役22年と15年を福岡地裁で言い渡された。恐喝の際は、別件で恐喝未遂罪で懲役2年執行猶予4年の有罪判決を受けている元暴力団員の田中政樹被告(47)の存在をちらつかせていた。
山本被告と岸被告がともに出廷した際には、互いに「暴行したのは自分ではない」と罪を擦り付け合い、無罪を主張。判決を不服として控訴し、現在は福岡高裁での控訴審を控えている状況だ。
しかしその裁判記録からは、山本被告らの“マインドコントロール”の手口が浮かび上がってくる。亡くなった瑠美さんは山本被告らから日常的に暴行や恐喝を受けていたが、周囲には「うち、姉ちゃん(山本被告)と離れとうない」と話していたというのだ——。
女帝・山本被告の“シノギ”は元暴力団員を利用した恐喝
地元社会部記者が事件を振り返る。
「山本被告は明るい髪色に濃いメイクと見た目も派手。取り巻きをひきつれて中洲の歓楽街で飲み歩き、豪快に金を遣う様子から、界隈では“女帝”として君臨していた。しかもこの金は、複数の被害者から恐喝して得たものでした」(地元社会部記者)
判決文によると、2015年ごろ、当時30代後半だった山本被告は17歳年下の岸被告と交際関係にあった。岸被告は定職につかず、経済的に山本被告に依存していた。
「岸被告を養う山本被告の“シノギ”は主に恐喝でした。他人の隙につけこみ、元暴力団員の田中被告の存在を利用して、他人から現金を巻き上げていた。山本被告は過去にも恐喝や監禁の前科があります。今回の裁判でも瑠美さんやその夫ら複数人に対して、未遂も含めて500万円近くが被害額として認定されています」(同前)