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「ホストに手を握らせ、手の甲に割りばしを突き刺した」太宰府の女帝が主婦を“精神支配”した手口《法廷証言》

「太宰府“主婦ホスト漬け”傷害致死」裁判  #1

genre : ニュース, 社会

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シガーライターを体に押し付け、生爪を剥ぐ

 “女帝”は少なくとも約20年前にはすでに暴行と恐喝に手を染めている。

 山本被告は当時、ある男性と婚姻関係にあった。その元夫は、今年2月に実子2人を絞殺し、殺人罪で福岡地検に起訴されている田中涼二被告(41)だ。田中涼二被告はテレビ西日本のインタビューで、山本被告とともに犯した罪について、こう明かしている。

田中被告(「FNNプライムオンライン」5月6日配信より)

田中涼二被告「(山本被告は)シガーライターを体に押し付けてみたり、カッターナイフで爪を剥いでみたり。でも(山本被告は)ヘラヘラ笑いながら『これ楽しいもんね~』とか言って『もう一枚取る? まだ(金を)払わん? じゃあもう一枚』って風なことを平気でやってましたね」 

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 あまりに残酷な犯行だが、こうした暴力と脅迫の“カモ”にされ、命まで奪われてしまったのが瑠美さんだ。

ホスト漬けで孤立した瑠美さんを「異常な管理」

 山本被告と瑠美さんが知り合ったのは2008年頃。もともと恐喝していた瑠美さんの実兄の借金を肩代わりさせるという名目で、金を支払わせていた。当時、山本被告にとって瑠美さんは大勢いる脅迫相手の1人だったが、次第にその狂気は瑠美さんに集中していく。

山本被告の元夫として匿名でインタビューに答える田中被告 (「『すくえた命』太宰府 主婦暴行死事件」より)

 2019年2~3月頃、山本被告は瑠美さんをホストクラブに連れて行くようになる。文春オンライン編集部の取材で、ホストクラブの従業員は瑠美さんがホストクラブを初めて訪れた際の様子をこう語っている。

「瑠美さんはホストクラブに慣れている感じはなく、ホストと話すのも乗り気ではないように見えました。お酒も強くないのか、最初はカクテルとか甘くて飲みやすい酒を飲んでいました」

 その後ホストクラブ通いは頻度を増し、訪れるたびに豪遊した。そして山本被告は瑠美さんの料金を立て替えることで借金額を増やし、激しく取り立てるようにもなった。

 瑠美さんはこの頃、近くに住む母親や妹から借金をしてホストクラブ代金を山本被告に支払っている。そのことが理由で瑠美さんは母親らとの関係が悪化したため、山本被告は瑠美さんと夫、そして2人の子供たちを実家から離れた場所へ引っ越しさせた。その後、瑠美さんを夫からも引き離し、同年8月下旬には太宰府市にある山本被告と岸被告の住む家に住まわせた。そこで瑠美さんは家族への連絡を制限されるなど、山本被告の許しなしに外部と接触することができない状況に陥っていた。

瑠美さんが山本被告と岸被告と同居していたアパート ©文藝春秋

「山本被告らは瑠美さんを最愛の家族から引き離すことで孤立させました。そして瑠美さんを目の行き届く範囲に四六時中置き、異常な管理を始めます。これがマインドコントロールを強める大きな要因になっと考えられています」(同前)