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 それからホスト通いはより一層加速する。この頃から、瑠美さんは異様な容貌でホストクラブを訪れるようになった。前出の社会部記者が語る。

「法廷で証言したホストクラブの従業員によると、この頃の瑠美さんは常軌を逸した様子だったようです。瑠美さんは山本被告から、毎日のように食パン1袋とカップ焼きそばを無理矢理食べさせられ、急激に太っていきました。服も同じ服を着せられ、風呂にも入らせてもらえず、ひどい悪臭がしたそうです。口紅を目のまわりに塗らせるなど奇抜な化粧もさせられていた」

ホストクラブで豪遊する山本被告

「怖くて逃げられない」「死んでしまう」「子供に会いたい」

 それだけではなく、山本被告はホストクラブで衆人環視のなか、瑠美さんに暴行を加えるようになっていったという。

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「ホストクラブで同席した従業員によると、山本被告から『瑠美が手を握りたいんじゃない? 手首をちょっと握っとってくれん? 手首を握ってテーブルの上に置いて』と言われ指示に従うと、山本被告が瑠美さんの手の甲に割りばしを突き刺したというのです。ホストは驚いて手を引いたようですが、山本被告は『ちゃんと握っとって』と命令し、割りばしをライターで炙って再度手の甲に突き刺し、その後ライターの点火口も押しつけた。しかし瑠美さんは『熱い』と言いながらも抵抗はしなかったと言います。

 見かねた従業員が山本被告に聞こえないよう、逃げた方がいいと提案したようですが、瑠美さんは『怖くて逃げられない』『このまま死んでしまうかも』『子供に会いたい』と泣いたそうです。残虐な行為を受ければ受けるほど、瑠美さんは逃げられなくなっていった。他人がいる場で暴行を受けることで、『逃げられないし誰も助けてくれない』という思いを深めていったのでしょう」(同前)

ホストクラブで豪遊する山本被告

山本被告と岸被告は「残酷な仕打ち」を楽しんでいた

 山本被告は衣食住といった人の基本的な生活を支配し、度を超えた暴力を瑠美さんに加えることで、人としての尊厳を奪っていったのだ。

「こうした支配関係が続き、瑠美さんは完全にマインドコントロールされていました。恐喝行為もエスカレートしていきましたが、山本被告らの目的はただ金を奪うことではなかったように見えます。山本被告と岸被告は残酷な仕打ちを瑠美さんに加えることそのものを楽しんでいた。この後、瑠美さんへの暴行はますます残虐なものになっていったのです」(同前)

 そして2019年9月以降、山本、岸両被告の自宅に監禁状態となった瑠美さんの身には、死に至るまでの「鬼畜」とも言える暴行が繰り返されていくのだ。(#2へ続く)