先日、我が故郷の新神戸駅で新幹線を降りてラジオ関西のレギュラー番組収録に向かっていた時だった。

 大男が新幹線改札口の手前にあるお土産売り場で会釈をしてくれた。

「ん? あの独特のモヒカン気味髪形は……誰だ? あ……Tくん!」

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 そうそう、福岡遠征へ向かう新幹線移動の待ち時間だったようで声を掛けてくれた。コロナ禍では私たちメディアの人間はグラウンドで取材は出来ない日々。改札の向こう側で距離を取っての会話だったけれど少し話すことが出来た。

T-岡田

「チャンスでTに打席は回る」近年の“オリックスあるある”

 すぽるとキャスター時代から取材には懇切丁寧に答えてきてくれたT-岡田選手。

田中「チームは良い感じだね」
T「そうですね。上位チームが波に乗り切れずにいる今はチャンスです」
田中「ベテラン、おじさん頑張って下さいね(笑)」
T「もういい歳ですからね(笑)。精一杯やります。若い子たちが頑張ってくれているのでより頑張らないとです」
田中「生きのいい選手たちが出てきましたね」
T「そうですね。何よりも空気感を変えてくれました、若い子たちが」
田中「あとはT君が打てば完璧ですね!」
T「(苦笑)……はい。感覚もだいぶ良い感じなりました。少しオープンに構えてボールを呼び込めるようになって来ました」
田中「T君が打てばオリックスは勝つんですよ!」
T「は、はい」
田中「福岡、いってらっしゃい!」

 マスク越しの短い会話でしたが、本当に嬉しかった。何よりも表情が良かった。T-岡田は前を向いていた。プラス思考だった。そして自分とチームに手ごたえを感じてくれていた。ソフトバンクと優勝へ向けデッドヒートを繰り広げた2014年はT-岡田は本塁打24本。長打率も5割近いものがあった。2010年は33本の本塁打を放ち、22歳にしてパ・リーグ本塁打王に輝いた。やはり彼の若い時代のインパクトは強く、オリックスファンの皆さんにインタビューを行っても、SNSの反応を見てみても、「やっぱり皆なT-岡田が好き」「やっぱりTに打ってほしい」「やっぱりTが打てば勝つ」……そう思って彼を見ているんですよ。

 ここで近年の“オリックスあるある”。「チャンスでTに打席は回る」。

 皆さん、同じ思いですよね? そうなんです。近年は試合を決めるような、シーズンを占うような場面で打席はT-岡田のもとに回るんです。まあ不思議。思い込みすぎ? でも本当に回ってくる。そういう星のもとに生まれているんです。実際、T-岡田が打ったシーズンは勝っている年が多いし、今年の交流戦優勝もT-岡田が3割6分以上の数字を残したことが勝因だと僕は思っています。