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カーネル・サンダースも40歳以降に成功…オリックス ・杉本裕太郎よ“遅咲きのリンドウ”となれ

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/06/04

「進めぇ~~~われ遅咲きのリンドウとならん!!」

“ラオウ”でお馴染み「北斗の拳」と双璧、原哲夫先生の代表作「花の慶次」の作中の名言だ(第1巻「遅咲きの花の巻」より)。

 そのラオウに前田慶次、それに森の戦士ボノロンや霞拳志郎といった原哲夫ワールドにどっぷり傾倒し、且つ目下売り出し中の野球選手がいる。Bs背番号99、杉本裕太郎外野手だ。

 彼は1991年生まれの今年30歳。プロ野球選手としては遅咲きの部類と言えるだろう。アラサー男子が自身で“ラオウ”と名乗る所にやや中二病を拗らせたような印象もあるが、そのパワーは折り紙付き。今季ここまでリーグ2位の12HR、打率.290に31打点はまさに4番打者の化身のような成績(6月2日現在)。190cm、94kgの恵まれた体躯にバットコントロールが目に見えて向上した今、いよいよ日本を代表する右の大砲の座を掴み取ろうとしている。あっ、話題のホテルコンパでユリアの心も掴み取ろうとしていたのか、いや、原哲夫ワールド的に言う所の世紀末覇者への道を歩もうとしていると言うべきか。

 長かった、いや、ここまで本当に長かった。2015年のドラフト10位で巨大な浪漫を迎え入れた我々Bsファンの心の声だろう。

杉本裕太郎

案外多い、遅咲きで大成した野球人

 野球界には同じく「遅咲きのリンドウ」ならぬ、30歳前後にしてそのキャリアに花を咲かせた選手が大勢いる。Bsで言えば能見篤史投手もその部類と言えるのではないだろうか。大阪ガスから04年ドラフトで阪神タイガースへ。そこから1軍に定着したのが09年だから当時の彼は30歳。同世代の井川慶が既にポスティングで渡米を果たしていた事を考えれば、やはり能見投手は遅咲きと言えるだろう。ただし、その井川投手が帰国後オリックスに入団したのが2012年、当時の能見投手は阪神タイガースの開幕投手を務める全盛期と考えれば遅咲きも悪くない、いや、咲いている時間が長い事が素晴らしいのか、いやいや、Bsファンをそんな気持ちにさせてくれた井川投手に感謝するべきなのか。

 糸井嘉男選手(阪神タイガース)も「遅咲きのリンドウ」と言えなくもない。もともと2003年ドラフトで投手として日本ハムに入団した彼が外野手にコンバートされたのが06年。そこが彼のキャリアの起点と考えても、Bsに移籍後首位打者を獲得したのが33歳の年、盗塁王は35歳でNPB史上最高齢での獲得となった。

 他にも山本浩二(広島カープ)や和田一浩(中日ドラゴンズ)、矢野燿大(阪神タイガース)等々、意外と遅咲きの名選手は大勢いるのである。