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無失点日本記録の西武・平良海馬 “低身長、がっちり”タイプの高卒投手はなぜ“即戦力”となれたのか

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/06/29

 西武の平良海馬投手が「無双」と言われるピッチングを続けています。

 6月28日のソフトバンク戦まで38試合連続無失点の日本記録タイを樹立。クイックのような投げ方から最速160km/hのストレートやスライダー、カットボール、チェンジアップなど変化球もレベルが高く、「10年後が末恐ろしい」という声も聞こえてくるほどです。

 高卒4年目の21歳と考えれば、そうした反応が多くなるのも頷けます。加えて、平良投手が通っていた八重山商工高校は当時、3年生部員は4人という環境でした。それから4年後、東京五輪で侍ジャパンに選ばれるほどの活躍を見せているわけです。

 今回、アナリストの私が文春野球に登場させてもらったのは、フェローを務めるデータスタジアムのYouTubeを見た中島大輔監督から「ぜひ解説してほしい!」と依頼を受けたからです。特に以前、平良投手のことを「即戦力タイプ」と予測したことに興味を持ってくれたようです。解説は少々マニアックになるかもしれませんが、もしそう感じたら、監督の采配ミスだと思ってください(笑)。

 

高卒ドラ4の「即戦力タイプ」

 高卒で入団した平良投手を「即戦力タイプ」という根拠にしたのが、比体重です。比体重は体重を身長で割って100倍した数値で、少ないほど痩せた体型と言えます。

 平良投手の入団時は173cm、84kg。比体重48.6で、「低身長、がっちり」タイプです。この辺の説明はマニアックになるので、ざっくり済ませます。マニアの皆さんは、2018年1月に書いた「BASEBALL GATE」の記事をご覧ください。

 一般的に高卒の投手は「将来性に期待する」と言われますが、185cm以上の「高身長、痩せ型」タイプなら頷けます。筋肉量を増やしていく余地が多く残されているからです。

 平良投手と同じ2017年ドラフトで言えば、北海高校からDeNAに3位指名された阪口皓亮投手がこのタイプ。もっと前にさかのぼれば、2007年にソフトバンクから高校生1巡目で入札された岩嵜翔投手、2013年6位でロッテに入団した二木康太投手などです。

 対して平良投手のように「低身長、がっちり」タイプはプロ入り後、身長や体重がすごく伸びることは傾向として少ない。それなのに球団が「高卒なのでじっくり育てよう」と考え、登板機会がなかなか与えられないと、旬の時期を逃してしまう可能性があります。「低身長、がっちり」タイプは体格的にすでにでき上がっているので、早めに高いレベルでどんどん実戦経験を積ませることが大事だと思います。

「低身長、がっちり」タイプの平良海馬

 西武の場合、平良投手を高卒2年目の2019年7月に一軍昇格させると、リリーフで26試合に起用しました。平良投手も「自分は高卒だから、まだ時間がある」という感じは一切なく、高い意識で取り組んでいたことが報道などから窺えます。4年目の今年は173cm、100kg、比体重57.8とスケールアップしていますが、その裏には高校時代から熱心に取り組んでいたウエイトトレーニングの成果があるのでしょう。