田中将、則本昂、涌井、岸の通算合計538勝(※2021年シーズン開幕前)の"4本柱"にルーキー早川をくわえた5本柱の超強力先発陣をひっさげた今シーズン。開幕前のこれはもうあっさり優勝するんじゃないかというファンの楽観モードはどこへ行ったのか、やっぱり野球はやってみないとわからない。
序盤の勢いから優勝すると思った交流戦は9勝8敗1分の6位で終了。交流戦終盤のタイガース戦からはじまった悪夢の7連敗。投打が噛み合い無双発動するバファローズに交流戦首位、そして6月20日にはパ・リーグ首位をあけわたしたのである。7月1日現在で首位に1ゲーム差の2位。やっぱりペナントレースはそう簡単にいかないことを、僕らは思い知らされたのである。
「若いレギュラー陣の調整方法が気になります」
しかし振り返れば日本一になった2013年もそうだった。
対マリーンズとの首位攻防戦を制し、はじめて首位に立ったのが7月4日。マー君中心に好調を維持しつつも、8月には5連敗を喫して2位との差が2.5ゲームまで縮まってしまった。
のちに優勝インタビューでペナントを振り返った星野監督は、この5連敗後にマリーンズを3タテしたことにふれ「(5連敗後の3連勝で)優勝はいけると、9割方確信を持った」と答えていたが、今回の7連敗後の4連勝も、なんだか優勝フラグなんじゃないかと勝手に期待してしまうのである。
しかし一方、CS出場そして優勝への懸念は、やはり打線。
開幕当初機能していた1番辰己、5番茂木は結局固定できず、ディクソン、カスティーヨの助っ人のお二人も一軍出場すらままならない状況。ますます浅村様頼みの打線に拍車がかかった今シーズンは、ここまでチーム打率.245、本塁打55とともにリーグ5位、得点293でリーグ4位、盗塁数リーグ最少。
チーム打率.258、得点557でリーグ1位、本塁打数もリーグ2位だった昨シーズンに比べると、明らかに見劣りしているのである。
「浅村もしっかり打ち込んでいるからこそ打率は3割近くキープできている。しかし昨シーズンと比べると、ミートポイントが少し後ろになっているのでないか? そのために本塁打数が増えていない」と解説してくれたのは、イーグルスOBの草野大輔さん。
2009年の野村楽天。打率.305、本塁打7、打点54のキャリアハイでチームを牽引、ファン投票でオールスター選出。球団創設以来初のCS進出の立役者の一人である草野さんは現状のチーム状況をこう分析する。
「開幕当初が好調なのはある意味例年通り。これからの夏場は、打ち勝っていかないといけない試合が多くなる。今の時期までに、夏バテに耐えられる練習をしているか。若いレギュラー陣の調整方法が気になりますね」
今シーズンはオリンピック期間もあって例年より夏場の調整期間が長い。試合感を落とさずに調整ができるのか。そしてそれは、公式戦8月以降の日程が過密となるということ。
「2009年は、オールスター明けから打線が打ち出しました。チームの雰囲気も5点差ぐらいならひっくり返せるなという雰囲気、勢いがありましたよね」
たしかにあの年、渡辺直人、高須で1、2番を形成、主軸は鉄平、山﨑武司、外国人はセギノールにリンデン、そして草野さんもいてファンから見ても期待感の高い打線だった。若手とベテラン、そして外国人、俊足巧打に長距離砲、バランスの取れた打線――。
「浅村のマークがきついは当たり前、それを支える選手があがってこないと厳しい。(打線にフォーカスすると)辰己、茂木あたりが夏場に調子をあげてこれるのか?が後半戦のポイントですよね」