シナリオのない世界で
我々歌手は、自分のライブのシナリオをいわば1回表から9回裏まで描いて表現していく。しかし、プロ野球は「今日は〇回に△ランを打って、ヒーローになるぞ」なんてシナリオを実行できる世界ではないだろう。
だからこそ、だ。その日DHでフル出場しているロンロンは、チームが勝利してからスタッフが手際よくお立ち台を準備している数分間「何て言おう?」と思考が大忙しだったのではないか。誰かチームメイトに助言を求めたのか。練習する暇すらなかったのでは。一説によると、「一言でお願いします」と言われて「それなら一人でがんばる」と自己申告したとか。
いや待てよ。もしや、昨年からなかなか結果が出ずに鎌ケ谷で過ごす日々の中で、何度も思い描いていたのだろうか。次にお立ち台に上るときは、必ず「誓い」を果たすぞと。
その真意を、いちファンの私は想像しかできない。でも想像できることが幸せだ。だって、ロンロンがそこにいる日々は当たり前ではないから。
ヒーローインタビューを通して見えたロンロン
以降、この約2か月で4度お立ち台に上っているのはかなりハイペースではないだろうか。その後は、ビジターが続いていることもあってか通訳同伴に戻っている。それでも、一部日本語を取り入れるなど「誓い」の色は消えない。6月5日には通訳を介して「この場を借りて日本に感謝しなければいけないことがあります」と台湾の想いを代弁し、6月24日には台湾語で語りかけ、話題になった。
ヒーローインタビューを通して私が見たのは、ロンロンの「ヒーローインタビュー」に対する「自分の口で伝える大切な場所」という意識の高さ。そして「台湾を背負って」「ずっと志願していた日本球界に」挑む姿勢だ。
#王加油bot はつづくよどこまでも
台湾の大王、4割打者、王柏融選手。2021年はここまで打率.242、5本塁打、打点24、OPS.784(2021/6/30時点)と、もっと伸びしろを見込まれているのも理解している。それでも私は、ロンロンの一挙一動に喜んで泣きたい。最短距離でボールを斬るよどみのない美しいスイングを、信じ続けていたい。
ヒーローを好きなんじゃない。ヒーローになるまで応援するんだ。ヒーローになった後もずっと。「誓い」は何度果たしてもいいのだから。 #王加油bot
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