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理論を正しく使えばビジネスに活きる

 さて、こうした『7つの習慣』の理論をベースにしたかのようなしたたかなサギ師の手口だが、正しい使い方をすれば、もちろんビジネスにも応用できる。

 ビジネスにおいて、顧客が契約に前向きでない状況を打破するとき、相手の心にすでにかかっている眼鏡をはずして、新たなものをかけ直させる必要があるかもしれない。

『7つの習慣』では、私たちが現状を変えて、成功をもたらすためには、アウトサイド・イン(外から内へ)ではなく、インサイド・アウト(内から外へ)の考え方を持つ必要があるとも書いている。

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 私たちは物事がうまくいかないと、どうしてもその原因や責任を境遇や環境など外側(アウトサイド)に向けて考えてしまいがちであるが、そうではなく原因を内面に求めて、それを改善していくことで、外的な成功へと導くことができる。

 このインサイド・アウトの考え方は、簡単には首をタテに振らない顧客を説得させるうえでも大いに役立つ。

内面に訴えて価値観をいかに変えるかが、営業トークの鍵

 客を説得させるのに、「好景気なので、儲かる」と外的な状況ばかりを話して、契約を促す営業マンがいるが、それだけでは相手の心は容易に動かない。相手を頷かせるには、もっとその人自身の内面に働きかける必要がある。

写真はイメージです ©iStock.com

 たとえば、高齢女性に“減塩醤油”を販売するある業者は、単に「塩分が控えめなので、血圧が高めの人でも安心で体に良い商品です」と言うだけではなく、高齢女性の心に次のように語りかける。

「今さら、健康に気を使う必要はないなんて……思っていませんか。おばあさん、この醤油を買うことは、健康に良いだけではないんですよ。この商品を使うことで、おばあさんがいつまでも健康で元気でいられる。そうすれば、お孫さん、息子、娘さん、みんながどれほど喜ぶことでしょうか。みんなにいつまでも元気な姿を見せてあげてください!」

 単なる「健康になる」というだけではなく、その背後にいる家族を思い浮かべさせて「健康であり続けて、家族を喜ばす」という内面の気持ちに訴えかけて、販売をする。

 営業先では、いかにこうした相手の心を変えるようなひと言を言えるかが鍵になる。相手のパラダイムを変えるために、その人自身の「根っこ」にある気持ちを見抜き、価値観という眼鏡をいかに替えてあげられるかがポイントになるのだ。

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