2020年度の特殊サギ被害総額は約227億8000万円。警察の取り締まりをはじめとした対策によって、年々被害総額は減少しているものの、深刻な状況はいまだ続いている。

 今でも被害が多数報告されているサギのひとつが「ギャンブル系」のサギだ。ここでは、『サギ師が使う交渉に絶対負けない悪魔のロジック術』(イースト新書Q)の一部を抜粋し、著者の多田文明氏のもとに届いたスパムメールに騙されてみてわかったサギ師たちの手口について紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

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最初の電話で、話に乗ってくる人物を見極める

 相変わらずギャンブル系のサギの被害は多いが、一時期、ロト6などの数字を選択して買える宝くじに絡むサギが急増したことがある。ご存じの方も多いと思うが、ロト6では、6個の数字がすべて当たると1等になり、理論上、1億円の配当になるというものだ。

 私のもとには怪しいスパムメールがよく届く。あるとき、「ロト6の攻略情報を教える」というサイトに飛ぶようになっているメールがきた。

 そこでこのサイトに、名前、電話番号を書き込み、無料会員の登録をしてみた。すると、30分もしないうちに、業者の男から電話がかかってきた。

「ご登録ありがとうございます。会員様には、ロト6抽選日のお昼までに、5等(6個の数字のうち3個が一致:理論上の当せん金額は1000円)の当せん番号をメールにて連絡いたします。ただし、当せん番号を購入した結果については、会員様のほうから翌日に必ず電話での報告をお願いします」

 私が「わかりました」と答えると、男は「公益情報」なるものについて話してきた。

「公益情報とは、すでに決まっている当たり番号のことです。私どもは財団法人からこの情報を買い付けています。この情報を入手できるのは、全国でも7社しかありません。その1社が当社です」

 そして業者が事前にわかっている当せん番号の情報を「買ってください」とでも言つてくるものかと思ったが、そうではなかった。男は「この話はまた機会を改めて」と言って、さっと切り上げた。

 これは騙しの情報をさりげなく切り出すことで、私がこの話に乗ってくる人物かどうかを見分けるための“試験”である。私が懐疑的な姿勢を見せなかったので、業者はすぐに、5通りの「5等の予想数字」のメールを送ってきた。