昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

時代劇のセリフを書ける人がいなくなると思います

―― 今後、特撮以外のドラマとかを書きたいという気持ちってないですか?

小林 特にないですね(笑)。恋愛ものとか全く書けないし。アクションがないお話なんて、どう書けばいいか分からないです。

―― 今、『必殺仕事人』のリメイクしてますけど、僕はあれをなんで小林さんに頼まなかったのかって、常々思ってるんです。

小林 ああ、どうなんですかね……。もし発注があったとしても、私、「仕事人」のこと好きすぎてダメかも。それに、今はやっぱり規制が厳しいので書きたいことが書けなそう。殺し方が少しでも残虐だとダメって言われそうだし。あと、画面の明るさが合わないんじゃないかな。

『必殺仕事人』といえば藤田まことだった ©時事通信社

―― 明るさというのは、あの時代劇的な暗めの照明が再現できないということですか?

小林 京都撮影所時代の時代劇は映像で見ると、本当に暗くて何だか分からないぐらいなんですけど、今はテレビであの暗さは受け入れてもらえないでしょうね。『仮面ライダーアマゾンズ』も結構暗めな画面の作品なんですが、「パソコンで見ると自分の顔しか見えないよ!」とか言われて。ディスプレイが暗すぎて鏡みたいになっちゃって(笑)。

―― 今、時代劇のスタッフさんがどんどんいなくなってきてしまって、伝統芸が断絶してしまうような危機感がありますよね。

小林 本当に。着物の所作もそうですけど、京都の撮影所にいらっしゃるエキストラさんは、それこそ自分で脚絆から何からやって、「ちょっと岡っ引きやって」って言えば、芝居をつけなくてもちゃんと岡っ引きの芝居をできるそうです。でも、このままだとそういう方もいなくなっちゃう。かつらをつけられる結髪さんもいなくなっちゃうでしょうし。すごく残念だなと思いますね。

―― 時代劇を見る人じたいも、どんどん少なくなっていきますよね。

小林 ちっちゃい頃から時代劇に触れてる子もいなくなっちゃってるし……。セリフも、時代劇のセリフを書ける人がいなくなると思いますよ。これが侍の言葉で、これが町人の言葉で、これが町人の娘なのかお姫様なのかっていうのが、ネイティブ感覚ではなくなってくるので。

朝ドラなんかは特に無理です。ああいう健全なものは

―― 『シンケンジャー』では、まさに時代劇のセリフを使われていましたね。

小林 私は全然まだまだですけど、それでも何とか意識して書きました。出演されていた伊吹吾郎さんに「時代劇の台詞になってる」って褒めていただいたのは、本当に励みになりましたね。

伊吹吾郎(水戸黄門最終回の撮影現場で)©山田真実/文藝春秋

―― えー、すごい! 格さんに褒められたんですね。『シンケンジャー』は殺陣も時代劇調でしたね。

小林 殺陣は、それこそJAEさんがノリノリで、日本刀の侍の殺陣、チャンバラをやってくださいました。だから、おもちゃって普通は変身アイテムから売れるんですけど、『シンケンジャー』の時はチャンバラの剣の武器が最初に売れたそうです。ちょっとこちらが『大江戸捜査網』調な感じの台本を書くと、それっぽい演出になったなっていうことがあって。すごいうれしかったですね。

―― あと僕は、小林さんには大河ドラマもやってほしい。

小林 いやいや、変身しないものは書けないです(笑)。アクションもあんまりないだろうし。

―― 特撮系の方は長期間のドラマを書いているから、朝ドラとか大河脚本への適性が高いと思うんですけど。

小林 いやー、どうでしょう。朝ドラなんかは特に無理ですよね。ああいう、ちょっと明るく健全なものは……(笑)。

―― どうしても陰を書いちゃうわけですね(笑)。好きな大河ドラマってありましたか?

小林 昔はほんと毎年見てました。『おんな太閤記』とか、『草燃える』。大河ドラマがきっかけになって、歴史が好きになって、一時期、永井路子さんや司馬遼太郎さんの歴史・時代小説にハマりました。永井さんの『北条政子』はボロボロになるまで読みました。

―― お好きな刑事ドラマをやりたいとかっていうのはないですか? 

小林 銃をガンガン撃っていいやつなら、書きたいです(笑)。『踊る(大捜査線)』とか『はぐれ刑事』とか、ああいう渋い系は書けない。やっぱり『西部警察』とか、車爆発しちゃうやつがいいですね。

#1 特撮とアニメの大脚本家 小林靖子が語る「杉良と藤田まこと」への愛
http://bunshun.jp/articles/-/4622

#2 「絶対レッドにならないキャラ」にハマっていた松坂桃李くん
http://bunshun.jp/articles/-/4623

 

写真=鈴木七絵/文藝春秋

こばやし・やすこ/1965年東京生まれ。93年『特捜ロボ ジャンパーソン』第40話でデビューを飾る。『仮面ライダー龍騎』『美少女戦士セーラームーン』『烈車戦隊トッキュウジャー』『侍戦隊シンケンジャー』などの東映作品のほか、アニメ『ジョジョの奇妙な冒険』『進撃の巨人』、Amazon動画配信『仮面ライダーアマゾンズ』など多くの脚本を手がけている。

この記事の写真(8枚)

+全表示

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー