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「私も私に問いたいですよ。おかしいな」

 かつての“ぶりっ子”ブームと現在の“あざとい”ブームの違いをさらに挙げるなら、タレントが自己発信できるツールがあったかどうか、というところも大きなポイントかもしれない。

「YouTubeとかSNSがあるから、今のほうがすごくいい時代ですよね。いろいろな発信方法があるから、自己プロデュースもしやすいかな。やっぱり芸能界の一線で活躍している人って、自己プロデュース能力の高い方が多い気がします。……事務所も大手から独立して、フリーになって活躍する人も増えてきているし、ここから少しずつ芸能界って、昔よりいい時代が来るんじゃないかなと、なんとなく感じてます」

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 そう分析するさとうだが、自分自身のこととなると、なぜか客観的に見られなくなるという。再来年には50歳になるさとうに、これまで「50歳の自分」をどうイメージしていたのか尋ねてみると「私も私に問いたいですよ。こんなはずではなかったような気がするんですけど……。おかしいな。ほんとボンヤリ生きてるとこうなるぞ、と女子たちに注意してあげたいです。気をつけないと、こうなっちゃうから(笑)」。

50歳を前に、次なる目標は……

「またぶりっ子ブームがくるといいな」と笑いながらも、「でも、50代でプンプンなんて、キツいですよね」と自らツッコミを入れる。

「この年になっても、自分が思っているほど成長もしていなければ、止まったままで。それなのに、もう半世紀が過ぎてるなんて。江戸時代だったら死んでいるぐらいなのに、何やってんのかなって思ったりします。でも、同郷の伊能忠敬さんは私ぐらいの年齢から地図を作ったから、今からでも遅くないと思いたいです(笑)。何か自分でも腑に落ちるような、人のためになるようなお仕事ができたらと漠然と思っていまして。早くそれが見つかると嬉しいです」

 ある意味でさとうは、“普通”すぎるのかもしれない。誰かに求められたらそれに応えたい、仕事を通して自分の居場所を見つけたい。周りの空気を察して動くことはできるけど、自分のことだけはわかるようでわからない――。そんなさとうが、バラエティ番組から強烈に求められ、そして世間から嫌われた時期があった。

 

「あの頃、テレビに出たら出たで、求められたものをやらなきゃいけない、ということもなかったのかもしれないです。言われたことを私が勝手に解釈して、『よし、頑張ろう』と空回りしたのかな。私、ほんとに頭が悪いんですよね……」

 違う。もし本当に頭が悪かったら、あれほどの数のバラエティ番組をテレビが期待した通りにこなし、時代に求められたわけがない。なのに「頭が悪いんです」と繰り返す不思議な謙虚さも、本当に彼女らしい。50歳という節目を前に、今も自分のできる“何か”を模索し続けるさとうは、「なんとか頑張って、もう1回嫌われますかね」と笑って、あの頃と同じように潤んだ瞳で私たちを見つめた。

撮影=橋本篤/文藝春秋

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