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(3)血糖値が安定すればやせられる

 血糖値は、数値が高いこと(=高血糖)自体がよくないことですし、また、食後に血糖値がぐんと上昇して時間が経つとまた元の数値に戻るという、上下動も体に様々な悪影響を及ぼします。血糖値の上下動が大きくなることを最近では血糖値スパイクと呼ぶようになり、最近メディアでも取り上げられるようになりました。

 たとえ食前の血糖値が正常であっても、食後の血糖値がぐんと上がると、これを処理するためにインスリンというホルモンがたくさん必要になります。

 インスリンは脂肪細胞のエネルギー取り込み口を思い切り開かせる作用を持っていますので、インスリンが出る=太りやすくなる、ということになります。

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 血糖値とは血液中の糖の値のことですので、糖質を摂取することが血糖値上昇につながります。つまり、糖質を過剰に摂取しなければインスリンが必要以上に分泌されることもなく、中性脂肪が増えることもないのです。

 糖質を控える食事法=糖質制限は現在のダイエットの潮流になっていますが、ひと口に糖質制限と言っても、現在では「夕食だけ糖質を抜く」とか「糖質をまったく摂らない」など様々な概念があります。

 私がおすすめしているのは緩やかな糖質制限「ロカボ」です。ロカボでは糖質量を、朝食20~40g、昼食20~40g、夕食20~40g、間食10gまでとして、1日の合計糖質量を70~130gに設定しています。

 糖質は大まかにいうと、「甘いもの」と「でんぷん」に分けられます。甘いものは分かりやすいですが、でんぷんはイメージしにくいと思います。でんぷんが多い主な食品は、穀類(米、小麦、とうもろこし、そばなど)、いも類(じゃがいも、さつまいもなど)、豆類(あずき、そらまめなど)です。

ロカボ実践。まずは「でんぷん」の多い食品を減らすよう心掛ける。©文藝春秋

 ロカボを始めるにあたっては、まずは主食を半分~3分の1に減らすといいでしょう。穀類が主食に当たります。白米ではお茶碗に3分の1~半膳(50~70g)、食パンでは8枚切~6枚切が1枚で糖質約20~25gです。

肉、魚ほかたいていの野菜がOK。お酒はビール、ワインも飲んで大丈夫。©文藝春秋

 主食の糖質を20gぐらいに抑え、残りの20gをおかずに充ててお腹いっぱいになるまで食べてください。おかずに関しては、いも類と豆類に気を付ければお肉も魚も野菜も、ほとんどのものはたっぷり食べても糖質20gには届きません。

 お酒は食事の糖質量+お酒の糖質量の合計を40gまでに抑えれば、醸造酒(ビール、ワインなど)であろうと、蒸留酒(ウィスキー、焼酎など)であろうと飲んで構いません。むしろお酒には、食後血糖値の上昇を緩やかにする効果があることが近年の研究で分かっています。

 1日の合計糖質量を70~130gに設定した理由は、医学的な研究結果を用いて著書で詳しく説明していますが、これを守っていればほとんどの方は食後血糖が正常値に保たれます。血糖値スパイクと呼ばれる激しい上下動も起こりません。

 太っている人は脂肪が減って体重が落ちていくのです。