子役の層が厚くなり始めた10年ほど前
この少し上の世代の元子役には、現在『ドラゴン桜』(TBS系)に出演する加藤清史郎(2001年生まれ)やNHKの朝ドラ『おかえりモネ』でヒロインの妹を演じる蒔田彩珠(2002年生まれ)らがおり、さらに下の世代からも今年中学生となった寺田心(2008年生まれ)など、存在感を示す子役がずっと途切れずに登場している感がある。名子役はいつの時代にもいたとはいえ、これだけ演技のうまい子役の層が厚くなったのは、やはり10年ほど前からの傾向らしい(※1)。前出の『コドモ警察』は、刑事たちが悪の組織の仕掛けた特殊ガスにより子供の姿になってしまうという設定だったが(福君が石原裕次郎ばりの振る舞いを見せるのがおかしかった)、そんな企画が成立したのも、ちゃんと演技のできる子役が複数いてこそだろう。
「大変だなと思ったことがなくて…」
しかも、ここに挙げた元子役たちは中学・高校と進学してからもなお、ほとんどが第一線で活動を続けている。そこでモチベーションになっているのは、「演じるのが楽しい」との思いに尽きるようだ。鈴木福は一昨年、雑誌で対談した先輩の加藤清史郎が、生後まもなくして事務所に入り、仕事を始めたがゆえに《物心ついた時からお芝居も歌も好きで、ずっと好きなことを続けている感覚だから大変だなと思ったことがなくて…》と言うのを受けて、《同じです。苦労したこともないし…。3才の時に親が辞めてもいいよって言ったら、ぼくはやるって答えたらしいんです》と応じていた(※2)。
もちろん、人知れず努力はしているのだろうが、努力すらも楽しみに変えてしまう才能を彼ら・彼女たちは持っているのではないか。それはとりわけ、この10年の子役ブーム最大の牽引役である芦田愛菜に顕著である。