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芦田愛菜の「全部を楽しむ」力のすごさ

 2017年放送のドキュメンタリー『山田孝之のカンヌ映画祭』(テレビ東京系)で、山田孝之と行動をともにする芦田を追った映画監督の松江哲明は、《僕が芦田さんを見ていてすごいなと思うのは、全部を楽しむんだよ。急に映画大学とか連れていかれても、話を聴きながら大事なところを色分けしてノートをとってくれる。(中略)よくわからない状況に置かれてもちゃんとそれを楽しもうとするというのが、たぶん小さいときから身についている姿勢なんだろうなと》と証言している(※3)。

2011年撮影 ©文藝春秋

 芦田は1年に100冊は読むという読書家としても知られる。幼い頃から読んできた本について振り返った著書『まなの本棚』には、森鷗外の『舞姫』、樋口一葉の『たけくらべ』など、大人にもハードルが高い本も多々挙げられているが、《森鷗外の文章はすごく知的だと思います。読む人に「ついてこい!」と言わんばかりのちょっと上から目線な雰囲気もあって(笑い)》、《『たけくらべ』は、少女まんがにもなりそうなストーリーですよね》といった具合に感想をつづり、いずれも楽しんで読んだことが伝わってくる(※4)。

ダンテの『神曲』は難しくて挫折…しかし

 そんな彼女も、ダンテの『神曲』に挑戦したものの、難しくて途中で挫折したと明かしているのを読むと、ちょっと安心する。ただ、《そんな自分が恥ずかしくて。背伸びしすぎたかなと》とも述べ(※5)、悔しさを隠さないところに、読書を通して常に向上しようとする姿勢をうかがわせる。

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2019年の「天皇ご即位をお祝いする国民祭典」にて ©JMPA

 読書で身につけた知識や教養は、現在出演中で、さまざまな分野から大人顔負けの知識を持った子供たちが登場するバラエティ番組『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日系)などにも活かされている。俳優業でも活躍は続き、昨年公開の映画『星の子』(大森立嗣監督)では主人公の中学生を演じ、“あやしい宗教”にのめり込んだ両親など、周囲の大人たちの言動に揺れ動く感情の機微を丁寧に表現していたのが印象深い。