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「誰かのために進んで動ける人はかっこいいなと思っていました」

 同作の公開を前にしたインタビューでは、小さい頃の夢を訊かれ、《夢というほどのことではないんですけど、人が見てないところで努力できる人だったり、誰かのために進んで動ける人はかっこいいなと思っていました。自分自身もそういう人になれたらいいなと思います》と答えていた(※6)。これだけ表舞台で活躍している彼女が、見えないところで努力したり動けたりできる人物でありたいと理想を抱いていることに驚かされる。

©JMPA

 巷間では、将来はニュースキャスターになるのではないかという声もあるようだが、本人は《いろんなことに興味を持って視野を広げていきたいので、「どれか一つ」ということじゃなくて、たとえば医学とか宇宙とか報道とか、常にいろんなことに興味を持っていたいです》と語っている(※7)。どんな道に進むにせよ、まだ17歳。来年4月の民法改正にともない、1年後には18歳で成人に達するとはいえ、今後の進路について考える時間はまだたっぷりある。

“俳優・芦田愛菜”が秘める無限の可能性

 それでも、筆者としては、別に仕事を持つとしても、やはり俳優業は続けてほしいところではある。それというのも、彼女が著書のなかで、ドラマ『Mother』を中学生になって見返したところ、ストーリーをわかっているつもりだったのが、自分の思っていた話とはずいぶん違うと気づき驚いたと書いていたからだ(※4)。

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 演技もまた、どんな天才子役でも、脚本を十分に理解できるようになってからではまったく違ってくるのは当然である。たとえば今後、彼女が徹底的につくりこまれた作品を精読した上で役づくりしたのなら、どんな演技を見せてくれるのか。あるいは自分で希望する作品を、映像化なり舞台化なりしたのなら、どう展開するのか。そう考えると、俳優としての芦田愛菜はまだまだ多くの可能性を秘めている。

©文藝春秋

※1 『AERA』2011年8月22日号
※2 『女性セブン』2019年10月17日号
※3 『ユリイカ』2017年8月臨時増刊号「総特集 山田孝之」
※4 芦田愛菜『まなの本棚』(小学館、2019年)
※5 『婦人公論』2020年4月14日号
※6 『MEN'S NON-NO』2020年11月号
※7 『週刊朝日』2019年8月30日号