自殺や他殺、発覚が遅れた孤独死の現場となった「事故物件」。国土交通省は2021年5月、事故物件に関して、原因などの告知内容や、告知が必要な事故からの期間などの指針を初めて公表した。「事故物件」を専門に扱っているサイト「成仏不動産」は実績を買われ、国土交通省からヒアリングがあったという。

 成仏不動産を運営している株式会社MARKS社長の花原浩二氏に、取り扱った物件の詳細や、事故物件の背景を聞いた。(全2回の2回目。前編を読む)

殺人事件の物件でも買い手は多い

――最もいわくつきになってしまうのはどのような物件なのでしょうか。

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花原 気にするお客様が最も多いのは、殺人事件の現場です。当社で扱ったことがある物件だと、埼玉県の戸建に住む一家の長男が次男を殺害してしまったケースがありました。母親は、いなくなった次男の捜索願を出していたんですが、長男は遺体を自宅の床下に埋めていたのです。

長男が弟の遺体を自宅の床下に埋めていた事故物件

 それから遺体発見までの期間は約半年。その後は8年ほど空き家になっていましたが、母親が亡くなり相続した長女が、戸建を処分したいと当社に相談にいらっしゃいました。約8年経ったとはいえ、腐敗臭が残っているかと思っていたのですが、土の中に遺体を埋めていたため思ったより腐乱臭はなく、物件に対するダメージはそこまで大きくなかったので、再生作業は比較的楽でした。

次男の遺体が土の下に半年間埋められていた物件

 通常のリフォームと同様、修復すべき部分は修復して、まだ使える部分はそのままにします。見た目は至って普通のリフォーム済み物件ですから、殺人があったからと言って買い手がつかなくなるわけではありません。もちろん、自殺や孤独死よりも価格の下落率は大きく、目安としてはおおよそ5割引程度になる場合もあるのですが、物件をほしいというお客様はたくさんいらっしゃいます。しかし、まだまだ一般的には「事故物件になってしまうと売れなくなる」というイメージを持つ方が多いため、当社は“事故物件のバリューアップ”を図っています。