文春オンライン

家族が床下に埋められた戸建は5割程度下落… 大手ハウスメーカー会社員が‟事故物件”専門会社を立ち上げたワケ

花原浩二さんインタビュー#2

2021/07/04
note

――事故物件を取り扱おうと思ったのはなぜですか。

花原 会社設立から2年ほど経った頃に、たまたま身近に事故物件の処分に困った人がいたためです。何か方法はないかと事故物件について調べていくと、業界のブラックボックス的な一面が見えてきたんです。その理由は、買い取る不動産業者の言い値で取り引きされていて、一般顧客が不利益を被っているという側面があるからだと気が付きました。

 事故物件だと相場がわからない。正しい判断ができない。売れるかどうかもわからない。売れるとしてもいくらになるかわからない。そのような状態なら、自分でマーケットを作ってしまえばいいと考えました。ただし、その前に事故物件のイメージを上げないとマーケットは作れません。そこで、“事故物件のバリューアップ”を図るために、自社で事故物件を買い取り、最終的にはこんなに良い物件になりましたと世の中に発信しています。

ADVERTISEMENT

写真はイメージ ©iStock.com

成仏不動産はお客様から感謝をもらう仕事

――今後の展望についてお聞かせください。

花原 不動産業界のブラックボックスは事故物件だけではありません。空き家物件や再建築不可能物件が抱える問題も、事故物件と同じようにもっと透明化していける取り組みを検討しています。

 私個人としては、少しでも人の世の役に立つ人生を送りたいと強く思っているんですが、“事故物件のバリューアップ”は、困った人に喜んでいただけます。先日、とある葬儀会社の社長から言われたのが、「一般的な会社はお客様に対して感謝するけれど、成仏不動産はお客様から感謝をもらう仕事ですね」と。

 どの不動産会社にも相手にしてもらえなかった不動産でも、当社が介入することで資産化できたり、手離れよく処分できたりして、「ありがとう」という感謝の気持ちをたくさん頂戴しています。事故物件に関する事業はものすごく意義のある仕事ですから、もっとたくさんのお客さまの役に立てればと思っています。

(文=二階堂銀河/A4studio)

家族が床下に埋められた戸建は5割程度下落… 大手ハウスメーカー会社員が‟事故物件”専門会社を立ち上げたワケ

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー