6月23日夜、文春オンライン特集班は急事態宣言下の6月18日に人気YouTuber31人が集まって行われた「自粛破りの大パーティー」について報じた。
「このたびの当社クリエイターの行動につきまして、深くお詫び申しあげます。当社は、参加したクリエイターへの厳重注意を行いました。また、全専属クリエイターに向け、感染予防対策および責任ある行動について、引き続き指導してまいります」
6月24日、人気YouTuberが数多く所属する事務所UUUMは「当社専属クリエイターの行動に関するお詫びとご報告」と題する文章を公式サイトで発表。同社所属の「水溜りボンド」のトミー、「アバンティーズ」のそらちぃ、ツリメらが同会合に参加したことについて謝罪した。また、同会合に参加していたあやなん、5人組人気YouTuber「コムドット」、関根りさ、古川優香らも自身のツイッターで謝罪した。
若者を中心にカリスマ的な人気を誇るYouTuberだが、近年彼らが引き起こすトラブルが多発している。動画の再生回数を稼ぎたいYouTuberの迷惑行為が刑事事件に至ったケースもある。なぜ、彼らは“暴走”するのか? 今回の緊急事態宣言下での会合が明らかになったことで、改めてYouTuberの「モラル」が問われているといえるだろう。
そこで文春オンラインでは、YouTuberが引き起こした「事件」の記事を再公開することとした(初出2021年4月30日、肩書き、年齢等は当時のまま)。
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「旭川市がこんなに早く、爽彩がイジメを受けていたかどうかを再調査すると決めたのは、(文春オンラインの)記事が出てからのネットの反響がとても大きく、多くの抗議の声が上がったからだと思います。そうした声が上がったのは本当にありがたいのですが、一方で、行き過ぎた言動がいまネットを中心にあふれており、異常だと思うことがあります。正直、少し冷静になっていただけたらと思う部分もあります」(爽彩さんの遺族の支援者)
ユーチューバーが旭川に現地入り。ついに逮捕者が出る騒ぎに
「文春オンライン」では4月15日からこれまで10本の記事を掲載し、今年3月、北海道旭川市の公園で、当時14歳の廣瀬爽彩(さあや)さんが凍死して見つかった事件の背景に凄惨なイジメがあったことについて詳報を続けてきた。爽彩さんが通っていたY中学校では、これまで「イジメはなかった」としていたが、報道を受けて22日には、旭川市がイジメの再調査に乗り出すことを公表。4月27日には、旭川市教育委員会が定例会議で「女子生徒がイジメにより重大な被害を受けた疑いがある」と指摘。いじめ防止対策推進法上の「重大事態」にあたると認定し、5月にも第三者委員会による本格的な調査を始めると発表した。
爽彩さんが受けた「イジメ」の全容解明に向けて、少しずつ動き出した一方で、日に日に“過激さ”を増しているのがネット空間だ。ある匿名掲示板では、イジメを行った加害者グループメンバーの実名や住所の割り出しが盛んに行われ、事件とは全く関係のない人物の実名や住所までも晒されている。さらに複数のユーチューバーが、旭川に現地入りし、市民への迷惑行為が横行した結果、ついに逮捕者が出る騒ぎにまでなった。こうした騒動が頻発していることに対して、爽彩さんが生前通ったY中学校の生徒や保護者、そして爽彩さんの遺族らから戸惑いの声が出ているのも事実だ。
※本記事では廣瀬爽彩さんの母親の許可を得た上で、爽彩さんの実名と写真を掲載しています。この件について、母親は「爽彩が14年間、頑張って生きてきた証を1人でも多くの方に知ってほしい。爽彩は簡単に死を選んだわけではありません。名前と写真を出すことで、爽彩がイジメと懸命に闘った現実を多くの人たちに知ってほしい」との強い意向をお持ちでした。編集部も、爽彩さんが受けた卑劣なイジメの実態を可能な限り事実に忠実なかたちで伝えるべきだと考え、実名と写真の掲載を決断しました。
「今以上の炎上騒ぎになる」と迫ったユーチューバー
4月26日、旭川中央警察署は神奈川県相模原市に住む自称ユーチューバー「折原」こと、東優樹容疑者(25)を強要未遂の疑いで逮捕した。東容疑者は爽彩さんの知人女性に対して、SNSを通じ、無理矢理話を聞こうとした疑いがもたれている。
「北海道警によると、東容疑者は『話を伺わせてもらえませんか』『今以上の炎上騒ぎになると思います』と爽彩さんの知人女性にSNSで発信した。『話をしなければ、今以上の炎上騒ぎになる』と迫った点が強要行為にあたると判断されました。さらに東容疑者は、爽彩さんの知人に対する付きまとい行為も激しく、裏どりもしっかりとできていないうちに、相手の顔写真や住所までいきなりSNSで公開したり、実際に相手の職場を訪れ、“直撃”を行っていました。こうした行為を問題視した警察は東容疑者を逮捕前からマークしていた」(地元メディア記者)